いざよふ

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 家に帰ると何故かたこ焼きパーティーが始まっていた。しかも男4人で。
 もう全員食べ終わっているのか、元親はDS、佐助はPSPをしている。残りの2人に至ってはこたつで眠っているようだ。
「こんなに作ってどうすんだよ、これ」
 皿にはまだこんもりとたこ焼きが乗っている。
「ああ、お前の分」
 上着とマフラーを脱ぎ捨てた政宗の前に、元親がたこ焼きが乗った皿をどんと置いた。不揃いな形のたこ焼きには、ソースとマヨネーズがかけられている。
「で、真田と前田はなんでこんな所で寝っ転がってんだ?」
「さあ?はしゃぎ疲れたんじゃないの?」
 それにしても随分と寝苦しそうだ。
「まあお前も食えよ」
 進められるままに一口食べてみる。意外にうまい。
「なかなかcoolな味だが、たこ入ってねーじゃねェか」
 しかもベビースターのような物も入っている。
「あ、じゃあ当たりだ」
「当たり?」
 普通はたこが入っているのが当たりではないのか。疑問に思いながら2つ目を口に放り込んだ。
 が、噛んだ瞬間に甘ったるい妙な味が口中に広がった。
「〜〜〜〜!!」
 声にならない悲鳴を上げて吐き出す。目には涙すら浮かんでくる。
 歯ごたえがすでにたこ焼きでは無かった。妙に弾力のある、しかしたこではない何かが混入してくる。
「汚ねーぞ、政宗」
「駄目だよ、一旦口に入れたものを出しちゃ」
 最もな意見なのだが爆笑しながら言われると腹が立つことこの上ない。
「Sit! 誰だこれ作ったヤツ!」
「いやー、前田がさぁ、ナタデココとたこは食感一緒だから絶対美味いって言うから」
 佐助と元親はまだ爆笑中だ。
「出来上がった端から皿に盛ってたらどれがどれだか分かんなくなっちまってよ。真田と前田はいちごとナタデココばっか当たって、食ってる途中で倒れちまった」
 通りで顔色が悪いはずだ。というかさっき食べた物はどれでも無さそうなのだが。
「一番不味いのはナタデココ。前田がタコと同じ食感だから絶対美味いって推してたけど、水分飛んでゴムみたいになっててめちゃくちゃ不味かった」
 さっき食べたのはナタデココかもしれない。
「政宗が最初に食べたのがチキンラーメン入りね。あと桜海老とアポロは結構美味いよ」
「アポロ食って平気だったのはてめーだけだ。食えるかあんなもん」
「えー、旦那だって美味いって言ってたじゃん」
「てめーらの味覚がおかしいんだ」
「じゃあ政宗に食べてもらって――」
「あ!」
 元親と佐助の言い合いを遮ったのは、突然起き上がった慶次の声だった。
「もう年明けてんじゃねェか。せっかくカウントダウンしようと思ってたのに!」
 言われて時計を見ると、0時を20分ほど過ぎていた。
「こんな年の越し方でいいのかねぇ」
「まあ、とりあえずあれだ。HAPPY NEW YEARだ」
「HAPPYどころかぐだぐだだな」
「今年こそちゃんとやろうと思ってたんだけどなぁ。あ、松姉ちゃんからあけおめメール来てる」
 幸村は起きる気配すら見せない。
「でもま、年明けたんだし一応やっときますか」
 全員で正座をして向かい合い、佐助が「せーの」と合図した。

「「「「明けましておめでとうございます」」」」

《終》




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