飲み過ぎ注意です



名前はにこりと綺麗に笑って部屋から出て行った。
白い肌に濃いブルーのロングドレスが良く似合ってる。僕が行くと伝えると青か白のドレスを着て待ってるんだから本当可愛いよね。
ま、背中が開き過ぎなのはちょっといただけないけど。

「ねぇ、いつから?」
「一年くらい前かな」

傑は深い溜め息を吐いた。いや、溜め息吐きたいのはこっちだよ!
最初は非術師なのに呪力も術式も持ってて自覚してない変わった子がいるなぁって興味持っただけだったけど、綺麗だし、話しも上手いし、気遣いも出来る、何より居心地が良いから気付いたら好きになってたんだよねぇ。
まぁ、傑も同じなんだろうけど。

「悟、本気なのかい?」
「本気も本気!全力で口説いてるつもりなんだけど、いつもかわされるんだよね」
「…私も同じだよ」
「あれは魔性!天然人誑しだよねぇ」
「そうだね。ホステスは天職だろう。名前はいつも私が欲しい言葉をくれるから一緒にいると癒されるんだよ」
「わっかるー!傑も本気じゃん」
「譲る気は私もないからね?」

んーそうだよねぇ。でも僕も絶対手に入れたいし、そろそろ既成事実でも作ろうかと思ってたけど、名前があまりにも純粋で優しいから迷ってたんだよね。傷付けたくないし失いたくないんだ。
僕より良い男なんていないから大丈夫かなって思ってたけど、傑が相手ならそうは行かない。僕達は足りないところをお互いに補って最強やって来たんだから、傑は僕にないものを持ってる。僕も傑にないものを持ってる筈なんだけど、勝てる気がしないなぁ。
ん?…どっちかが負ける必要なくない?

「お待たせしました」

タイトなニットワンピースに着替えた名前が現れた。
えー!かっわいい!スタイル良い!知ってたけど!

「私服も可愛いね」
「アフター行くつもりじゃなかったので、お洒落してきてなくて。お二人と歩くの恥ずかしいです」
「えーそんな事ないよ!凄く可愛い」
「ふふっ、お二人のファンに刺されないように気をつけます」

最強二人が付いてるのに刺される訳ないでしょ?あ、知らないんだったか。まぁ僕達が何の仕事していようが笑って受け入れてくれそうだから早く話せる関係になりたいところだ。
傑が予約した店の個室に入ってどこに座るかで揉めて結局三人で並んで座る事にした。
もちろん真ん中に名前ね。

「何飲みますか?悟さんメロンソーダありますよ!」
「まじ?なら僕はそれにする!ていうか、そろそろ悟って呼んでくれない?」
「私も傑がいいな。お店じゃないんだから気を遣わないで?敬語もいらないよ」
「…ならそうさせてもらうね?悟はメロンソーダで、傑は何飲む?」
「名前が飲めるならボトル開けるけど、どうする?」
「明日何も予定入れてないから私は飲めるけど、傑は仕事大丈夫??」
「…午後からだから大丈夫だよ」

明日予定ないとか言っちゃって大丈夫?
僕が言うのも何だけど簡単に人の事信じすぎじゃない?傑を見ると同じ顔をしていた。




「んーちょっと飲み過ぎちゃった、かも」
「酔っ払ったとこ初めて見た」
「仕事だと気を張っているから酔わないんじゃないかな?」
「うん、いつも酔わないようにしてるんだけど…綺麗な顔、見てるとお酒も美味しくて、困っちゃうねぇ」

えへへっと笑った顔をみて思わず眉間を押さえた。かわいいが止まらない。ふにゃふにゃになってて、いつも凛としているお店とのギャップも堪らない。
というか本当にチョロすぎで心配なんだけど。これお持ち帰りされても文句言えないよね?

「ねぇ、名前は僕と傑どっちが好き?」
「えー?うーん…(お客様として)どっちも好きだよ」

とろんとした顔で好きだと言ったあと瞳を閉じて僕の胸にもたれ掛かってきた。
これはもう、あれだよ。いいよね?

「悟、私は譲れないって言ったよね?」
「言ったね」
「名前がどちらも好きなら仕方ないよね?」
「奇遇だねぇ。僕も同じ事考えてたよ。選べなかった名前が悪い!って事で僕の家でいいよね」
「悟の家の方が近いしね。そこは譲るよ」




  
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