待てがお上手


「んん…」

あー頭重たい。昨日飲み過ぎちゃったなぁ。え?昨日?ちょっと待って、え?
アフター行って、ワイン開けて?眠くなっちゃって、それから……それから?!
恐る恐る瞼を持ち上げると知らない天井が…いや、知ってるわ。私の家だ。そうだよね、私お持ち帰りとかされた事ない、し…?
脳が覚めてきてふと、気付いた。胸とお腹に乗っている腕に絡められた足。
なるべく身体を動かさないようにして左右を見ると美しい寝顔に挟まれていた。
う、嘘でしょう?私がお持ち帰ったの?ヤバすぎる!あぁ…誰にも見られてないよね…枕営業とか思われたくない…。

「んん…名前、はょ」

ふにゃりと笑った悟はぽやぽやしてて寝起きから天使なの?てくらい可愛いくて…じゃなくて!

「起きたの…名前おはよう」

前髪をかき上げながら傑は色気をこれでもかと振りまいていて、まるで情事後の様な…
う、嘘だと言って!!
私、下着しか身に付けてない…

「おはようございます…え、と。私記憶がなくて…」
「そうだろうと思っていたから気にしなくていいよ」

いやいやいや!気にするところしかないです!!にっこり笑った傑さんは私の髪を掬って口付けてて、本当にどんな状況なのか頭がついてこない。

「あ、勘違いしてそうだから言うけど、僕達ヤってないからね」
「…なら私は何故脱いでるんでしょう?しかも何で私の家に…」
「名前が家に帰りたいって言ったからだよ。それに脱いだのは君」

そう、ですか。なら何故お二人は此処にいるんでしょうか??
アフターなんか行くんじゃなかった!!





「名前、帰るよ?」
「ぅん…タクシー乗せて?」

微笑みながら今度は私の肩に寄りかかった彼女に眉間を押さえる。可愛いすぎる。もう色んな意味で乗せてあげたい。
とりあえず抱きかかえて三人で店を出た後タクシーに乗ると運転手に住所を伝え始めた。
え?個人情報はもう少し大事にした方がいいよ?一応私達、客なんだけどね。他の客にもこんな事してないよなと少し眉間に皺を寄せてしまうのは名前が人気なんだから仕方ないだろう?

「え、僕と同じマンションなんだけど」
「は?」
「ーー号室だよぉ」

部屋番号を伝えると力尽きたように眠った。
悟と顔を合わせて溜め息を吐いた。
本当に心配になるんだけど。まぁアフターは行きませんと言っていたからそれが本当である事を信じたい。

エントランスに着くと歩けるよと言って鞄から鍵を取り出してオートロックを開けた。

「上がっていきますかぁ?」

もう。馬鹿可愛い。リビングに通されて悟とソファーに二人で座った。生活感のないモデルルームのようなモダンで落ち着いた内装は彼女によく似合っていた。

「下はこんな間取りなんだー!ここも相当高い筈なのにさすがNo. 1だねぇ」
「…私達は信用されてるって思っていいのか?それとも男として見られていないのか…」
「んーどうだろうね?まぁ好意は持ってくれてるんじゃない?」

眠いと目を擦りながらリビングに戻って来た名前に悟と目を見開いた。なんなら悟はすぐにサングラスを外している。
メイクを落として来た彼女は少し幼く見えて凄く可愛いんだけど、服はどうしたのかな?
下着しか身につけていないんだけれど?
ボルドーのレースの下着からくっきりとした谷間が見えて、くびれた細い腰に真っ白で細長い手足。Tバックから丸い形のいいお尻が丸見えだった。

「…脱いで?」

ぼそっと呟いた名前にごくりと喉が鳴った。女性の下着姿なんて飽きるほど見てきた筈なのに有り得ないほど興奮してしまっている。言われるがままパンツだけ残して服を脱ぎ捨てると手を引かれて寝室に連れて行かれて名前を挟んで広いベッドに横になった。

「本当はお風呂入りたい、んだけど…」
「僕は気にしないよ?」
「なら、良かった………おやすみ」
「おや、すみ?….嘘だろう」
「ちょっと、まじ?寝れる訳ねぇだろ。ちんこガン勃ちしてんだけど」
「…不本意ながら私もだよ」

すでに臨戦態勢だった可哀想な自身に溜め息を吐いた。あー焦らしプレイなの?まぁ明日覚えてないんだろうけど。

「ふ…ぁっん、」
「…悟何してるの」
「え?おっぱい触ってるんだけど?」
「はぁー。私も我慢してるんだから寝ろよ」
「…チッ、分かったよ!ねぇ本当心配なんだけど、この子色々と大丈夫??」

すうすうと規則的な吐息が聞こえてどうやら既に熟睡しているようだった。
長い睫毛にスッと通った鼻。小さな唇にそっと唇を合わせた。

「あ!それはずるくない?!」
「胸触ったんだろう?」
「キスは別!!」

悟もちゅっと触れるだけの口付けをするとふにゃりと微笑む名前。
ナチュラルボーン煽リストがここにいた。

「ふ、ククッ!何か試されているのかな?」
「あっぶな!射精るかと思った…あーもう!明日覚えとけよ」

悟は胸の下にぎゅっと抱きついて瞼を下ろした。私も彼女の細い腰に手を回して目を閉じる。名前の香りと体温に興奮も驚くほど落ち着いて行ってそのまま眠りに落ちた。
もう毎晩こうして眠りたい。



  
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