穏やかな夜に


間接照明だけ残した広いリビングで一人でお気に入りのワインを飲んでいる。

この二週間は本当に色々な事があった。
考えないといけない事が沢山あるのだけれど、こんな穏やかな時間は久方ぶりでつい考える事をやめてしまいたくなる。

彼、いやもう今は元彼かな。流されるままで居たけどあの人が、お前がいないと死ぬ。って言った時、今まで自身が好きに生きて来た罰かなって思った。平将門の子孫って言われてちょっと納得してしまった。
三代怨霊だったか、そんな人が今まで私を守ってくれてたって知ると今までの人生は確かに納得が行く。両親が厳しかったのもあるが真面目で平穏な学生時代を生きていた。就職してから、周りとの関係も良好で業績も常に上位でいられた。大口契約ほど取れなかった事は無かったし、今まで本当に自由だった。他人にあれ程まで執着されたのは初めてでそれが愛なのかって思った時期もあった。一週間で考えを改めたけど。

まぁそんな凄い方が私を守ってくれて居たのだからこうしてまた平穏な時間を送れているのだ。
力を使って、殺せ。
勿論殺す以前に二度と会いたくないのだから殺すなんて愚かな事はしない。
でもこの力を使えるのなら?私にしか出来ない事があるのなら?
出会ってたった二週間だけれど、多忙な彼の事を少しでも支えられるのでは?
…あぁ。少し飲み過ぎてしまっただろうか。
空いたボトルを眺める。
このままじゃ、ダメだよね…。



「五条さん、いってらっしゃい。気をつけてね。」
「朝ごはんありがとうね!今日は遅くなりそうだからまた連絡するね。行ってきまーす」

ガチャリと閉まるドアを見ながら決意を固める。




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