クリスマス休暇はあっという間に終わりを告げ、家族の元に帰っていた生徒達もホグワーツへもどってきた。
ハーマイオニーも休暇が終わる一日前には帰り、久しぶりに会う私達と包容を交わした。
ハリーはあの鏡についてアルバスの忠告を受けたあと、あの部屋に行くことも、探そうとすることもなくなった。
だが僅かながら両親と過ごした時を忘れきれないようで、時折ぼうっとしたり落ち着かなさそうに視線をさまよわせる。
私はそんなハリーを見るたび、胸が締め付けられるのを感じていた。
両親と過ごした記憶がなければ共にいる自分の姿を想像もできないだろうが、彼は見てしまったのだ。両親の姿、そして優しく包まれている自分を。
ハリーにとって、それは手を伸ばしても届かない自分の姿。それゆえに忘れられないのだろう。欲しかった日々がそこにあったのだと、思いを馳せずにいられないに違いない。
そんなハリーの姿は切なく、それを知っているからこそ何の言葉も掛けられなかった。そして同時に、鏡を見たときに映った自分の姿も思い出されて仕方がなかった。
白く靄がかった鏡。そこにはっきりと映る自分の姿。あの鏡がいちばんの望みを映し出すというのなら、あれが私にとっての望みだったというのだろうか?
そう考えても、首を横に振る答えしか出てこない。あの鏡には、それこそ何も映っていなかった。何も、示していなかったのだ。
正答のない問いを続けるがそれで自分が落ち着くわけでも忘れられるわけでもない。考えないように、とあの光景に鍵をかけることしかできなかった。
ハリーのみぞの鏡を考えている姿を見なければ、それを考えることもなくなりその存在すらも思い出すこともなくなる。
過ぎていく日々に流されるように始まった新学期も、クリスマス休暇がくる前のような生活に戻っていった。
私とハリー、ロン、ハーマイオニーはニコラス・フラメルについて調べるため相変わらず図書館に通い詰めていた。
しかし休暇に入る前もこれでもかというほど探していたので、皆は図書館の中は探しても無駄だとほとんど諦めていた。ロンは開いた本に顔を突っ伏し、ハリーはぎゅっと口を一文字に結びゆっくりとページをめくるだけだ。
ハーマイオニーだけがせかせかと図書館中を見てまわっていた。その様子に私は内心ほっと息を吐きながら、皆に合わせてニコラス・フラメルの名を探していた。
彼について知っているのならそれを教えるべきだろうが、そうしてしまった後に彼らがどんな行動を起こすのかが想像もできない。どうか平穏でありますように、と見守ることしか私にはできないのだ。
見ているページをめくりながら深く息を吐いたとき、席をはずしていたハーマイオニーが分厚く大きな、古びた本を抱えて戻ってきた。
「全然違うところを探させちゃったわ!どうしてわたし、忘れてたのかしら!」
その言葉とともに、ハーマイオニーは抱えた本を机の上に置いた。そのあまりの重さに机がドンと揺れ、ハリーとロンは驚きに目を見張った。
ハーマイオニーはため息でも吐きそうな様子で椅子に腰掛ける。
ドキ、と胸が跳ね上がった。賢く聡明なハーマイオニーは、繋がっていない糸をうまく手繰り寄せて答えへと導いてしまう。
何もわかっていない二人の隣で、私はただ口を噤んだ。
「ずいぶん前に借りた本。軽い読み物だけど。」
「軽い?これが?」
ハーマイオニーの言葉にロンは正気を疑うかのような眼差しを向けた。
何がどうなってそんな本が軽いというのだ、とそう言いたげだ。
そんなロンをハーマイオニーはむっとしたように一瞥し、すぐに本へと視線を戻した。
立派な表紙を開き幾重も重なりその厚みをもっている本をめくり、探していたものをその目に捉えた。
「あったわ、ここよ!
ニコラス・フラメルは"賢者の石"を造った人物である…!」
「何それ。」
「…本読まないの?あなたたち。」
ハーマイオニーの読み上げたものに、図らずも二人は声を揃えた。
きょとんとした二人に、ハーマイオニーは呆れた言葉をかける。そしてちらと私の様子をうかがうように視線を向けた。
私はほとんどその言葉も聞いてはおらず、はっきりと告げられたその物の名に身を固くしていた。
ニコラス・フラメルで通じてしまうのは賢者の石で間違いはなかった。彼女はそれを導きだし、それを二人に提示てしまう。
状況としては危険だが、それがいけないことかと言われると首を振ることしかできない。ハリーもロンもハーマイオニーも、良いことだと信じているのだから。
そこに繋がらなければいいというのは、私の勝手な願いだ。ただ私は、繋がらないように抑えつけたくも糸を焼き払うようなこともしたくはない。
傍らで見守り、危険からその身を守る。それでいいのだから。
そこへ繋げたのはハーマイオニーの努力だ。彼女の、才能と言ってもいい。
私はハーマイオニーの視線に応えるように、微かに微笑んだ。ハーマイオニーは得意げに口元を緩め、また本に目を向けて続きの文を読み始めた。
「賢者の石は、恐るべき力を秘めた伝説の物体で、いかなる金属をも黄金に変え、"生命の水"を生みだす。これを飲めば不老不死となる。」
「不老不死?」
「死なないってことよ。」
「そのぐらいわかるよ!」
「シーッ!」
ロンのふと呟いたような言葉にハーマイオニーが反射的にでも答えるが、ロンはそれにいい気持ちはしなかったようで眉根を寄せて声を荒げた。
いくら通っていてもここが図書館だということには変わりない。図書館内では静かに、という厳しい声がマダム・ピンスからかかる前に、ハリーが気にしたようにロンに向けて注意を促した。
ハーマイオニーは本に顔を向けたまま視線だけを寄越していたが、ふうと息を吐いてまた本の重要箇所を読み始めた。
「現在存在する唯一の石は、ニコラス・フラメルが所有している。フラメル氏は有名な錬金術師で、去年665歳を迎えた。」
その信じられない年齢に、聞いていた二人は目を大きく見開く。
顔を見合わせ絶句しているかのような姿に自然と笑みがこぼれるが、確かに信じ難いものだろう。
百年生きられるかどうかというのに、それを優に越えた六百年だ。その六百年がどのようなものかなんて、想像もできない。
ハリーとロンはそこに気を取られていたが、ハーマイオニーは閃いたように勢いよく顔を上げた。
「フラッフィーが守ってるのはこれよ!
仕掛け扉の中にあるのは、賢者の石よ!」
ついにたどり着いた、ニコラス・フラメルの名。その人物の偉業、賢者の石という存在。三頭犬が何のためにこのホグワーツ魔法魔術学校にいるのか。
答えを出したハーマイオニーのその言葉を合図にでもしたかのように、三人は顔を見合わせて弾けるように立ち上がり走り出した。
私は突然のその行動に、目を見張ってしまう。出遅れて三人を追いかけるために勢いよく立ち上がり駆けだした。
図書館内で大きく声を出してしまったこと、走ってしまったことでマダム・ピンスに睨まれたが、先を進む三人に夢中になり、それどころではなかった。
彼らが向かおうとしている場所は容易に想像できる。今まで血眼になりながら探していた物が、やっとわかったのだ。そのヒントをくれた人物、彼の元へ行こうとしているのだ。
走りながらも自分がどんどんと落ち着いていくのがわかった。息も心拍数もあがっているが、それでも落ち着いていた。すっと、自分の中の何かが冷めていくのがわかる。
私が興奮していてはだめだ。私は冷静に、彼らの元にいて、状況を見て、守らなければ。そう、心の中で繰り返す。
やっと走って見えたのは、やはり森の前に佇むハグリッドの小屋だった。真っ暗になった空に、煙突からの白い煙をたなびかせ。窓は不自然に全てのカーテンが閉められていた。
三人の足は引き寄せられるように小屋に向かった。私はその後を追いかけながら、ただただ見守るように心を堅く決めていた。
「ハグリッド!」
ハリーがやっとハグリッドの小屋に着き、大きな声でハグリッドを呼んだ。次いで着いたロン、ハーマイオニーは肩で息をしながら中からの応答を待つ。
ドクドクと駆けめぐる血液をその身に感じながら、私は三人のうしろに立ちひとつ息を吐いた。
少し経つと小屋の扉が開かれた。
その瞬間、とてつもない熱気が隙間から漏れ出してきた。うっと息が詰まり、あまりの熱に目に涙が溜まってくる。
扉から顔をのぞかせたハグリッドは汗をだらだらとかき、焦ったように早口に言葉を放った。
「だぁ…!悪いな、今日はお前さんらと遊んどる暇はないんだ、じゃあな。」
「ッ"賢者の石"のことだよ!」
「何?」
素早く扉を閉めようとしたハグリッドに、ハリー、ロン、ハーマイオニーは咄嗟に叫んだ。
ハグリッドは耳を疑うように動きを止め、三人の顔を見てから私に視線を移す。
以前ハグリッドがもらした言葉やありったけの知識を紡ぎ、答えを導き出してしまうのだ、この三人は。感心の言葉しか出ない。そういう意を込めて、私はハグリッドの視線に苦笑を返した。
ハグリッドはわかったというようにスッと身を引いて扉を開けた。私達はあまり扉を開けないように、中にするりと滑り込む。
ハグリッドの小屋の中は灼熱地獄と表するにふさわしいほどに暑かった。もう寒くもないのに、ゴウゴウと暖炉には炎が燃えている。息をするにも、のどが焼けてしまいそうだ。
「スネイプが盗もうとしてる!」
「ハリー!セブルスは、そんなことしようとしてないよ。」
「スネイプ?馬鹿言え、まだ疑っとるのか?」
なるべく暖炉から離れたソファーに座りながらハリーは確信をもっているように声を上げた。
その言葉に、なんともちょうどよく私とハグリッドの言葉が重なる。ハリーは言葉に詰まったように息を呑んだがまた口を開いた。
その瞳にはなんの嘘もない。本当にそう信じている。
「っ、ホントに石を狙ってるんだよ!なぜだか知らないけど。」
「スネイプは石を守ってる先生のひとりだ。盗んだりするわけなかろう。」
「なんだって?」
「聞こえたろうが。さぁもう帰れ、今日はそれどころじゃねぇ。」
ハリーはハグリッドの口から出た思ってもいなかった言葉に目を丸くした。ロンも目をぱちくりとさせ、その言葉の意味を考えているようだ。
ハグリッドもホグワーツの教授のひとりだ。嘘を言っているとは思えない。
さぁ行った行った、というように忙しそうな様子をハグリッドは見せる。
すると、ずっと黙って考え込んでいたハーマイオニーが口を開いた。
「わかった!何人もの人があの石を守っているのね?魔法や呪文をかけて。」
「そういうこった。まぁフラッフィーがいりゃあ大丈夫だがな。あいつの守りは鉄壁さ!」
誇らしげな様子のハグリッドに、ハーマイオニーは瞳を輝かせた。
本当に、ハーマイオニーは頭がいい。よく頭がまわって、何をしたらうまくいくかを知っている。
ハーマイオニーの瞳にハグリッドは気を良くしたようで、その口からは言葉が次いであふれてきた。
「あいつを宥められるのはおれとダンブルドアだけだ!
…いけねぇ、これも内緒だった。なんてこった…。」
歯止めが利かないようにもれた言葉に、ハーマイオニーはにっこりとした。できたらその先も聞きたいが、ハグリッドがもらすのは今はここまでだろう。
ハグリッドは隠し事をするのには向いていない。得意になりやすく、なによりも素直なのだ。
けれどそこがいいところでもある。だからこそこの三人もこんなに心を開いているのだ。
私はくす、と口元を綻ばせた。この関係が崩れることなんて、きっと、ないだろう。
そう思いながら私は、顔を見合わせてフラッフィーの宥め方を考えているハリー、ロン、ハーマイオニーを見た。
するとどこからかカラカラ、カタカタという音が鳴り始めた。
「?」
一体何の音だろう、と今まで考えていたことをおいて首を傾げた。
ハグリッドはいち早くその音に反応し、真っ先に暖炉へ向かう。
分厚いミトンの鍋つかみをその両手に着け、ゴウゴウと火にかかっている鍋から丸い物を取り出した。
「おぉう、アチチッ…!」
ハグリッドはそれを落とさないように慎重にテーブルまで持ってきた。
丸いそれは茶色と黒色の斑模様をしていた。ゴトリ、とテーブルの上に置かれたそれを、部屋の暑さも忘れてまじまじと見つめた。
ハリーがゴクリと唾を呑み込んだのがわかった。
「ねぇ、ハグリッド…これ一体何なの…?」
「こいつはなぁ、…なんちゅうか、…。」
「僕なんだか知ってるよ!
…ハグリッド、どこで手に入れたの?」
恐る恐る声をかけたハリーにハグリッドは瞳を輝かせたが、はっとしたように言葉を詰まらせた。
視線が右往左往と泳ぐ。それだけで、あまり歓迎されないものであることは痛いほどに伝わった。
そんなハグリッドを横目にロンが球体に顔をぐっと近づけて声を上げる。
そのロンの言葉に、私は小さく頷いた。この"茶黒い球体"なんて、滅多に手に入るものではない。
いくらハグリッドでも、この卵が孵れば、ひとたまりもないだろう。
ドラゴンを飼うなんて魔法界の法律でも禁止されていることであるし、それに幼いうちであればまだしも、ドラゴンの成体はとてつもなく巨大だ。成長も早くこんな小さな小屋では面倒は見きれない。
案じている私達を尻目に、ハグリッドはけろっとしたような顔で話した。
「賭でもらった。パブで会った知らないやつから。
向こうもこいつを持て余してたみてぇだし…。」
だからいいだろう?ハグリッドの目は、明らかにそう言っていた。
その様子に、苦笑しかできない。ハグリッドにとってはのどから手がでるほど魅力的なものなのだろう。
私達が眉根を寄せて顔を見合わせたのと同時に、卵が今までより大きな音を鳴らした。
コツン、ゴツン、コツン。中にいる赤ちゃんドラゴンが孵ろうと、必死になって殻を割ろうとしているのだ。
カタカタ、パキッ。何度も何度も繰り返すその音に、私達は無意識にでもテーブルから離れようと後ずさりをしていた。
私達とは正反対に、ハグリッドはこれでもかというほどに瞳を輝かせ、うきうきしながら卵に近づいていく。
卵の正体を知っている私とロンは、孵ろうとしているものにドキリとしながら口を引き結ぶ。何も知らないであろうハリーとハーマイオニーは、不安げに肩を跳ねさせながら顔を見合わせて様子をうかがっていた。
そして次の瞬間、卵の殻が飛び散った。
卵よりも黒く、ごつごつしたものが、テーブルの上にコロン、と転がった。
「これって…、…ドラゴン?」
ハーマイオニーは眉根を寄せ、呟きながら確認するように言葉を絞り出した。
茶黒い卵からテーブルに転がり出てきたのは、黒いしわくちゃの赤ちゃんドラゴンだった。だが一般的に考えてしまうドラゴンとは似ても似つかない。
まさに骨と皮のような、ゴツゴツで痩せこけているその身体。片翼がそれぞれ胴体と同じくらい不格好に大きく、骨っぽい。
もっと小さければ蝙蝠とでも思ってしまうだろう。
そんな見窄らしい赤ちゃんドラゴンに、ロンは顔を近づけた。
「ただのドラゴンじゃないよ。"ノルウェー・リッジバック"だ。
チャーリー兄さんがルーマニアで研究してる種類だよ。」
そのロンの言葉に、私は内心舌を巻いた。兄がドラゴンを研究しているからといって、その種類を見分けるのは難しい。
特に、ノルウェー・リッジバック種とハンガリー・ホーンテール種は似ているのだ。
それをいとも容易くロンは見分けてしまった。感心の言葉しかない。
皆がその赤ちゃんドラゴンに釘付けになっていると、赤ちゃんドラゴンは目の前にいるハグリッドに顔を向けてクゥ、と小さく鳴いた。
ハグリッドはその鳴き声にうっとりと目を細め、私達に呼びかける。
「見事だろう。ちゃーんとママがわかっとるぞ。
いい子だ、ノーバート。」
「ノーバート!?」
「ああ。名前は付けてやらんと。
ほぉらノーバート、よーしよしよしよし。」
鳴いている赤ちゃんドラゴンをあやすように指で撫でながら言ったハグリッドに、ハリーは耳を疑ったようだった。
ハグリッドはうっとりしたまま何事もないようにこたえる。その溺愛ぶりにハリー、ロン、ハーマイオニーは苦笑しかできなかった。
赤ちゃんドラゴンを相手しているハグリッドはとても優しくいい顔をしていて微笑ましい。
くすくすっと笑い、私は独り言のように呟いた。
「ハグリッドは、きっといいママになるよ。
でも、気をつけてね?」
ノルウェー・リッジバッグ種の牙には毒があるから。そう言葉を続けると、ハリーとハーマイオニーはガタッと音をさせて後ずさった。
もとより知っていたのであろうロンはじりじりと離れていく。
さすがと言うべきなのか、当のハグリッドは微塵も気にした様子を見せず、それすらも愛おしいというような夢を見ているかのような表情をしていた。
夢心地でノーバートをあやしているハグリッドに向かって、ノーバートが図らずもゲフッとげっぷをした。
ノーバートの口からは炎がボウッと噴き出し、それはハグリッドの蓄えられたもじゃもじゃの針金のような髭に移った。
「お、ぉおう…!」
ハグリッドは燃えた髭を急いで叩き、火を消しにかかった。
黒い髭の一部が赤く燃え、もじゃもじゃをさらにひどくしていったようだった。
幸い火の移りが軽かったためか、何度か叩いただけでその熱はおさまった。やっと火を消せたハグリッドはほっとしたように言葉をもらした。
「ちょっと躾が必要だな。」
まるでそれがただの軽い"おいた"であっただけかのような調子のハグリッドに、ハリーとロンとハーマイオニーは顔を引きつらせた。
私は盲目なほどに夢中なハグリッドに苦笑しかできなかった。それだけ嬉しいのだろう。
ハグリッドは火の消えた髭から、ふと顔を上げた。するとその顔からは血の気が引いていき、目を凝らしながら震えた声を出した。
「ありゃ誰だ?」
「……マルフォイだ。」
ハグリッドの視線を追うと、ハリーは低い声で呟く。
全て閉められたカーテンには隙間があり、窓の外にはドラコが張り付いていた。
ハグリッドの言葉に弾けるように私達が顔を向け、その注目を集めてしまったドラコは、はっとしたように駆けだした。
それをすぐに止められるはずもなく、私達は真っ青な顔を見合わせた。
この事件を、ドラコは見て見ぬ振りをするだろうか?そんなはずはないだろう。すぐにでもこの隙を突き、皆に言いふらしたくてしょうがないはずだ。
私は呆れたようにため息を吐いた。
ハグリッドは、血の気の引いた顔をさらに落ち込ませ、唇を震わせた。
「こりゃいかん…。」
[ Prev ] [ Next ]