avec_toi
逃げ続けた私。
それでもキミは、私を追いかけてきてくれた。
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レターズフェスから数日経った。あれから何度かトゥーヴェリテと出逢ったりはしたものの、どうにも恥ずかしくて見かけた瞬間反射的に逃げ出してしまうようになってしまった。昨日ルゥルゥに相談したら「好きなモノから逃げ出す意味が分からない」なんて言われてしまった。分かってる、分かってはいるのだけれどもあの笑顔を浮かべられてしまうとどうにも気恥ずかしくて逃げてしまう。彼に悪いとも理解しているのに。
そんな事を考えながらいつも通り広場で踊り終わって、いつもの調子で道の通りに足を進める。ここから行くとロナンシェの喫茶店も、最近お世話になってる宿も近いんだ。
今日のダンスも上手くいってご機嫌にふんふんと鼻歌を歌いつつ、ちょっとリゾやロナンシェにトゥーヴェリテとの事を相談してみようかな。なんて思っていたら不意に背後から誰かに手を掴まれた。思わず身を竦めながらもテレポートの魔法を使おうとしたが指を絡められ、その指が指輪に触れられてそれも叶わなかった。この指輪の魔法は触れている人間一人だけを運ぶもの、定員オーバーだ。ちょっと、これは。
「なっ!?えっ?ちょっと「アリア君。」
瞬間、耳元で囁かれたのはついさっきまで考えていた彼の物で。
思わず恐怖とは別の意味でぞくりと背筋が震える。突然の想い人の来襲に驚きと恥ずかしさとで動けないでいると、いつもとは違うなんだか弱々しい声が聞こえた。
「逃げないでほしいんだ…手荒なことはしないから。…君に無理強いをするなんて絶対に、しないから。」
その言葉に目を見開いた。
続くように握られた指先からも、肩に乗せられた額からも、震えを感じた。嗚呼、これは。
私は。
「君を、君だけを愛しています。…僕は君に、想われたい。けど、それが無理でも…」
「…僕の前から、居なく、ならないで」
なんて馬鹿だ。
漸く見ることの出来た彼は、泣いていた。
涙を流している所も、黒い服を着ている所も初めて見た。
そしてこんなにも彼を必死にさせて、こんなにも彼の気持ちを傷つけていたのは私だ。
涙を流しているトゥーヴェリテに歩み寄って、その涙を指で拭う。確かに色んな表情を見たいとは思ったけど、こんな形でなんて嫌だ。
そのまま深く被ってた黒いフードを取って、その白くて綺麗な頬を両手でそっと包む。
恥ずかしいけど、もう逃げない。
「……逃げて、ごめん。恥ずかしくて……逃げちゃってたけど、私もキミが好きだよトゥーヴェリテ。」
顔が、赤くなる。
それを誤魔化すように背伸びをして、背の高い彼の唇を奪った。
「……もう、勝手に居なくなったりなんてしないよ。」
だからとびきりの笑顔を、私に見せて欲しいな。
----綺麗なキミも、カッコ悪いキミも。どんなトゥーヴェリテでも、私は大好きさ
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avec_toi=君とともに
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企画内企画、レターズフェスでのお話。
みそさん宅、トゥーヴェリテさん(@misokikaku)
お借りしました。
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