見上げた先には、キミの
ふと、この前リーフに行った時、ラルウェルがロナンシェと結婚式の話をしてるのを思いだした。
「彼女の誕生日に式を挙げるんだ」とか、「式はあの森の教会でするのよね、アタシも手伝いするわよ」とか。
終始顔をデレデレにふやかしながら幸せいっぱいと言わんばかりのオーラを振りまいているラルウェルの顔を隣の席で見ていて、私も少しだけ結婚とかプロポーズなんてことをぼんやり考えるようになった。
そりゃあ私だって一応オンナノコなワケで、少しは憧れだってあったワケで。
大通りの店に飾られているドレスをちょっぴり眺めたり、仲が良さそうに歩いている家族の姿を目で追ったり。
けど今の幸せにも十分満足していた。
毎日踊って、友達とおしゃべりして。トゥーヴェリテと一緒に過ごして。
今はゆっくりこの時間を楽しんでいるのもいいよね、なんて思っていたけど。
だけど、
「もしも今、僕のプロポーズに応えられるのなら…左手を僕の手にのせてくれないかい?」
それは突然やってきた。
思考が追い付かない。
いや、理解は出来てるんだけどその、突然すぎて。
恥ずかしくて赤くなった顔を覆う指の間から、かちりとトゥーヴェリテと視線が合った。
キミの紫の瞳がじっと私を窺うように見詰めてくる。
するりと差し出された手に、またひとつ心臓が高鳴った。
「いつも困らせてごめんね?
愛してるよ、アリア。」
ずるい、ずるい。
こんな時だけ呼び捨てで。
顔が真っ赤になっていくのが自分でも分かる、最近やっと落ち着いてきたと思ってたのに。
キミはいつだってこうやって、突然。
とびきり予想外の刺激を私に与えてくるんだ。
「…………あの、さ」
「ん?」
顔を覆っていた手をそっと外して、トゥーヴェリテの方に向けて顔を上げた。私の問い掛けに反応して緩やかに首が傾げられる。
ああもう、顔が熱くて仕方ないったらありゃしない。
「……私ガサツだし、多分あっちこっちフラフラすると思うし、トゥーヴェリテが思うようなのにはなれないかもだけど……」
「……うん、それで?」
「……それでも私で、いいっていってくれるなら」
私は、キミと一緒にこれからもすごしていきたい。
そして、もっともっと近くでそれを感じてみたい。
差し出された手に、そっと緊張と照れとで少しだけ震える左手を伸ばす。
しゃらりと。
身に着けてた、初めてトゥーヴェリテと出会った時に貰った、硝子のブレスレットの音が部屋の中に微かに響いた。
「…………私だって、愛してる」
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うおおおおおおぉぉぉっ!!!!!(悶絶)
「鏡の先の光の先の」のお返事です……!!
みそさん宅、トゥーヴェリテさん(@misokikaku)
お借りしました!
2015/06/18
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