メタフィクション/ベクター

「ははッ、オイ、誰がてめえの事抱いてるのか言ってみろ、はははッ…。」
女の右脚を押し上げ、股を開かせてる。
汚い喘ぎが混じった、ぜえぜえ上がった息が余計に俺をかき立てる。

………そういえば、コイツの名前、なんだっけ。
コイツ誰だ。
顔もよくわかんねえし、何で俺こんな事してるんだろうな。
…なんだ、靄がかかって見えねえ。
意識もぼーっとしてきた…。
コイツがどうとかどうでも良いから、これは一体何なんだ、誰か教えてくれ…。
…#na? me#?
なァんだ。コイツ、元々名前もないし、こんなヤツいねーんだ…はは、そっか。
俺は……そっか、お前の為にいるんだ。
お前が俺を好んで、必要としている間にいられるんだ。お前には代わりがいるかもしれねえけど、俺にはお前が必要だ。
なあ、ずっと愛しててくれよ。
やめろよ、なんであれほど大事にしてた漫画をダンボール箱に詰めてるんだよ。
引っ越し…? だからってそんな、オイ。
もう俺はいらねーのかよ。
確かに漫画には俺はいねーけど、でも、…カードは!?
ストレージも全部棚から出して…引っ越しでもそこまでする必要はねえよなァ…。
飽きた。そうだろ。はっきり言え。
あ…やべェ…俺…お前の中に俺への好意がないと…もう考えたりできねえんだ…。
段々……思い出されもしなくなって………たとえ他の奴の頭に俺がいても…お前の中の俺は……俺だけだ……俺は、個別の俺……だから……消えたくねェよ…………忘れ、ない、で………あ゛…、俺の居場所…もう、無……―――――――――――――――



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