べくたーちゃんとおふとん(変換あり)

目を覚ますと、ふわりと金木犀が香った。
昨夜、隣にいた***の姿が見当たらない。寝床を共にすると言うよりも、俺が勝手に潜り込んでいるだけだが、***は迷惑そうな顔をしながらも俺に好き勝手させてくれる。手は…出したくないワケではないが、あいつが本気で嫌がる事はしない。ふとした時にぞくぞくと来て、耐え難い感情に押し流されそうになるが、いつか、あいつが本当の意味で俺を受け入れられるようになるまで、俺はあいつの横に居るだけでいいと思う。「いつまで居座るつもりですか」と突かれるのだが。ひやりと風が背中を撫でたのを切っ掛けに、台所の方へ視線を向ける。この位置からでは見えないが、確かに***がそこに居る。ちょいと脅かしてやろうと音を忍ばせ背後に近づく。
「べくたーさん。」
「…ッ、お、はよ…。」
「気づいてますからね。邪魔なので寝ててください。」
「よかれと思ってお手伝いしますよ!」
「お布団干しといてください。」
冷たい言葉にもめげずに従う僕ってなんて健気なんでしょう〜、と媚びた声を後ろに残しベッドに戻る。布団を剥ぎ取り、ベランダにばさばさとおっ被せる。再び、金木犀と朝の冷気、それに加えてあいつの匂いが広がった。引っかけた布団に顔を埋め、すう、と息を吸えば体の中があいつで甘ったるく満たされるような気がした。
それから、背中にあいつの視線が刺さっている感じは…事実そうなのだろう。





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