以前の日記に載せていた妄想文の一部です。パラレルとエロ多め。

こぎつね妄想 【4】

2006/04/09


暖かくなり始め、遼に稲穂の海を見せると約束した呂布は、鬼の怪力を使って田を造り始めました。
力を見られると恐れられてしまうので、夜を待ってから。
硬く痩せた荒地から大岩を取り除き、邪魔な木々を掘り起こし、水路を通し…。
村人たちはたった一晩で荒地を田に変えてしまうその力に恐れを隠せないようでした。
それでも呂布がその田を貧しい者に貸し与えたり、病で働けない者が居る家を手伝ったりしていくうちに、遠巻きに見ていた村人たちもひとり、またひとりと手伝うようになりました。
遼も田の小石を拾ったり、雑草を抜いたりとちょこちょこ動き回っています。
田に青々とした茎が伸びる頃には、呂布は少しずつ、村人たちに受け入れられるようになっていました。

晴れた日には、遼を肩に乗せひょいひょいと山を登り、てっぺんから村を見下ろしました。

「きれいだなぁ…」

夏の日差しを受けて、田の水が、緑濃い稲が、きらきらと輝いています。
頭上から降ってくる感嘆に微笑みながら呂布は、すう、と村の端から端まで指さしました。

「もうすぐこの緑が黄金色に変わる。楽しみだな、遼」
「はい!」

はやく、はやく変わらないかな…
嬉しそうにはしゃぐ遼と同じ気持ちで、呂布も村を眺めました。

ところが、それから数日後。
遼の様子がおかしくなりはじめました。
長い時間、ぼんやりすることが多くなったのです。
はじめは疲れのせいだろうと思っていたのですが、徐々にその時間は長くなり、次第に起き上がれないほどになりました。
病気ではないのかと焦る呂布に遼は、しばらく寝ていれば平気ですと繰り返すばかり。
ときおり苦しそうに丸まり、じっと耐えている姿を見かねて大きな街の医者へ連れてゆこうと考えましたが、遼は普通の子供ではなく、狐なのです。
呂布は知っている限りの治療を試しました。

虫下しの薬も効きません。
滋養のあるものを食べさせても効きません。
鬼の妙薬ですら、なんの効果もありませんでした。

「働けなくてごめんなさい」と、ちいさな声で呟く遼を布団の上から撫でながら、呂布は己の無力さを痛感していました。
遼はすっかり痩せて、ふわふわだった毛並みもところどころ抜け落ちています。

ああ、俺は遼を失うのか。このまま何もできずに。

撫でることしか出来ない自分が歯痒くて、唇を噛みしめます。そのとき感じた塩辛さで、呂布は自分が泣いている事に気付きました。

「遼…俺はどうしたらいい。お前を失わずに済むなら、俺は―」

そのときどこからか、ゴソゴソ、と微かな音が聞こえました。
そして遠く、戸が開く音。
外へ出て音のした方へ静かに近付いてゆくと、物置小屋の戸が再び開いて、中から影が出てきました。

「誰だ!!」

怒鳴り、その腕をつかむと「ヒッ!」と短い悲鳴。

「物盗りか?何を…」

ぶるぶると震える男が抱えていたのは壷でした。そういえば、村人に幸運の壷なんてものを貰った覚えがあります。
そして呂布が捕らえたのは、その壷を持ってきた男でした。

「幸運が惜しくなったか?」
「す、すみませんすみません…!」
「俺はこんなものに興味はない。言えば、返したものを」
「ち、違うんです…!これは…!」
「それは、幸運の壷なんかじゃないんです」

突然割り込んできた声に振り向くと、遼が立っていました。
その姿に、男はますますガタガタと震え始めます。
何事かと訝しがると、ついに悲鳴をあげ呂布の手を振り払って逃げ出しました。

「何を知っている、遼」

遼は一瞬目を伏せて、悲しそうに顔を歪めました。今にも泣き出しそうです。

「遼、話せ」
「…それは、呪いです」
「呪い…?」


「わたしが、その壷の呪いなのです」






続きます。急展開…!


そういえば仔狐いっかいめで遼の容姿を12歳くらいと書いたのですが、とある方からプリティきつね絵を頂いて気付きました。
どう考えてもわたし、8歳くらいで妄想してました…!
ショタショタやんけ!とショックを受けたのですが、よく考えたら8歳も12歳もショタには違いないわけでして…。
もういいさ、すきにやるさ(今までも十分すきにやってただろう)

とゆわけでこぎつねちゃん↓
ショタショタ…




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