Titles


真田とお題

◎矛盾した5題
柳と重なり合う平行線 桑原の一瞬の永遠 幸村と切原のきらめく暗闇 仁王との忘れ去った記憶 最愛の宿敵手塚(大石f/)
 thanks to お題はじめました

◎ありきたりな恋の5題
出会いがしらの木手 千石の人物設定 観月の思い違い(柳&幸村f/) 急転直下な千石(室町f/) 柳生とハッピーエンド
 thanks to お題はじめました

立海でお題

◎過去形で5題
桑原はただそれひとつを信じていた 柳生はずっと続いていく気がしていた 理由はいらないと思っていた すべて知っているつもりでいた コトバにするのを忘れていた
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「待てぇい、手塚!!」
「えっ」

「……何か用か」


 突然バァンと開け放たれた、さっき俺が閉めたはずの扉にびっくりしてる暇も無かった。抽選会の後、帰ろうとした俺たちを――いや手塚を、立海の真田が呼び止めたんだ。


「待てと言っているだろう!」
「だから用は何だ……」


 存在感がありまくるというか、真田って嵐のような奴だと思う。

 声に振り返ったのは俺と周りに居た他校の奴らだけ。実際彼に呼ばれてるはずの手塚は、立ち止まった俺すらも置いてすたすたと歩みを進めていた。


─(まぁ、慣れっこなのかな)


 真田は本当に俺なんか眼中に無いって感じで手塚に追い付く。そこは別に、構わないけど――ってしまった、俺も置いていかれそうだ。


「おい、腕はどうなんだ」

「……ああ、完治した」
「本当か!」


 言葉だけを聞いてると、手塚のことをすごく心配しててくれてた、ように思えるのに彼の表情はいつも通り厳めしい。同い年なのにやっぱり、未だにちょっと怖いな。

 けどそれに加えて、俺は少し前から気になってることがあるんだ。


「それで、どうだったのだ」
「……何がだ」




 ぶっ飛んだ考えだけど。




「九州はどうだったと聞いている」
「……」
「…………」


 真田って、もしかしたら手塚が好きなんじゃないかってさ。なんというか想像しにくいけど、たぶんそう、恋愛的な意味でだ。

 気にしすぎなんだろうか。同性愛に偏見は無いつもりだし、俺だってたまにクラスメートから英二と仲良いことを怪しいってからかわれたりもする。でもそれとはちょっと違ってて、ライバル視してるというよりも必要以上に気にかけてるような。仲良くしたいのは分かるけど、その不器用さと露骨さがマッチして行き過ぎてる感じだ。


「お前に答える必要があるのか」
「何──おい貴様、髪が伸びたな!」

「……良い加減にしろ」


 いやどうやら気のせいじゃないかもしれないぞ、少なくとも当の手塚は気付いてる。しかも真田が無駄に大声を張り上げてるもんだから、周りの視線が更にたくさん集まってきたじゃないか。どうしよう、関係無いはずの俺がなんだか恥ずかしくなってきた。




 ごめん、手塚。そう心で呟いて、俺は二人から少し距離を置いた。


「面白い奴だろう」
「わあぁ! あ──柳、くん」


 その時だ。びっくりした、途端に耳の後ろから声がかかる。もう今日は何度素っ頓狂な声を出したか覚えてないよ。

 この雰囲気は幼馴染み特有なのか? データマンだけあってさすがの神出鬼没ぶりだ。立海も、青学に負けじと変人揃いなのかもしれない。


「面白いって、」
「弦一郎だ」
「普段もあんな感じ、なのか?」

「そちらの部長限定らしい」


 本人は無自覚のようだがな──そう言ってから柳は口の端を少し上げた。ひょっとして彼も、俺と同じこと考えてたりして。


「興味深いと思わないか」
「はは、そうだな……」


 でも俺とは捉え方が違ってるのか、柳はこの状況をすごく楽しんでるように見えた。伏せたままの眼も、どことなく笑ってるように思えなくもない。

 顔の向きでしかわからないけど、彼の視線の先は既に俺から離れたみたいだ。それに合わせて、俺も手塚を追いかけた。




***




「行くぞ、大石」
「ああ……じゃあな、さ」
「待て手塚、逃げる気か?!」

「お前は重い」
「どういう意──む!」
「今のうちに行くといい」

「助かる」
「蓮二、放せ!」


─(こりゃ、大変……)




end
手塚苦労した〜



最愛の宿敵


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