地下


東京24区。

それは、かつて喰種が地下へと追いやられた際に作られたと言われる東京の地下に広がる大迷宮のことだ。
CCGも迂闊に手を出せず、また、地下の迷宮がどのようになっているのかまだ全てがわかったわけではない。手探りで地図を生成している最中だ。しかも喰種の掃きだめでもある。よって、新人の戦闘能力底上げのため使うことも多々あることもある。

「まぁ、正直こんな所に連れてこられて面倒なだけなんですよねぇ」
「そんなことをいうな仁」
「すいませんね。丸手特等、何分俺はここに拘束されるのが嫌なもんで。なんたって…」

近くへ迫ってくる喰種の匂い。おれな喰種であるからこそわかる感覚。そこに俺のクインケを正確に命中させれば喰種は真っ二つとなり地面に残骸を残し逝った。

「てか、俺のクインケ今しゅーり中なのになんで24区に出張しないといけないんすかー。意味わかんねーっす」
「グダグダいってんじゃねーよ。一番簡単にこの仕事を終わらせる手段があるぜぇ。それはな、お前がクズに殺されることだ」

丸手特等。いや、CCGの喰種捜査官は喰種のことを『クズ』と言う奴が多い。まぁ、大半の喰種捜査官が喰種によってアカデミーに入れられた喰種被害者だというのも一つの理由だろうが。

「27で死ぬとか親不孝者すぎでしょ。丸手特等こそ、そろそろ亡くなってもいいころじゃないですかー?」

ザシュと地下に音が響く。
顔についた喰種の血を舐めとれば赫眼しそうになる右目を抑える

《人間ほどではないが新鮮なジュース。美味しい》

心の中でそう悦楽に浸っているとまた新たな喰種が俺に襲いかかってくる

「白鳩め!!死ねぇ!!」

相手は鱗赫の喰種のようで二本の爪を俺の方へと伸ばしてきた。

《いい爪だ…でも》

「な…んで…俺の赫子が壊れ……」
「残念だったな。今回の俺のクインケは尾赫の喰種の赫子から作られてるんだよ」

そういい、クインケをもう一振りすれば、相手は真っ二つになり、中の物を飛び散らして地面に落ちる

「お?」
「どうしたよ仁」
「丸手特等。クインケ壊れました。やっぱ急拵えの不完全なものはいくら元の赫子がSレートでもダメですねぇ」

そう言ってクインケを捨て、スーツのポケットから銃を取り出せば丸手特等が相手をしている喰種に向かってトリガーを引く

「残念だったな喰種よ。俺の部下が優秀でな!」

丸手特等が扱っているクインケは鱗赫の喰種の赫子。SSレートの喰種の攻撃力にはあの甲赫の喰種も敵わなかったようで地に沈められる。

「ま、とりあえずこんなもんじゃないですか?いくら丸手特等が強くたってパートナーの俺のクインケ壊れちゃ続行できませんよ。しかも今隊の進路から逸れちゃってますし。中断したほうが賢明ですよー」

丸手特等は少しの間考えると無線機を使いその声を響かせる

「丸手、九社前ペアは九社前のクインケ破壊により地上に戻る。オメェラは地下の喰種共を制圧してこい!」
『了解!!!』

そう無線機から声が聞こえれば、ぶちっーという音を残して途切れた

「仁戻るぞ」
「りょーかい。いやー、丸手さんとパートナーとか何年ぶりですか?俺が上等になる前だから…一年くらいですかねー」
「まだ、そんだけしか経ってねーのか」
「もう、じゃないんですねーw」
「新人のお前は優秀だが暴走気味だったからな。しかもあの時俺は特等だったのに二等のお前と組まされるは後始末に駆り出されるわ…散々な毎日だったわ」

そう、俺が二等の頃は普通に上等の人と組んでいたんだが、いかんせん半喰種の俺の匂いが喰種にはスイーツのように甘いようでSやらSSレートの喰種が襲いかかり、勝利を収めるも上官の死亡ということが多かったからだ。それで間埋めで正式なパートナーではないが丸手さんがついてくれたのが何度かあったのだ。その後は入局2年目に真戸さんがついてくれたんだが、まぁ、それは今は関係ない話か

「いやー、あの時はありがとうございましたー。おかげ27で上等まで来ましたよー。」
「てめぇは何年上等してんだよ。昇進断ってなけりゃあ、今准特等だろうが?さっさと昇進して俺の駒として仕事しやがれ」

「そんな煽てないでくださいよーw」

「煽ててねーよ、皮肉ってんだよ。お前がくんだ上等が次々死んで俺にお鉢が回ってきたときは絶望したわ」

カツンカツンと金属梯子を登り地上に出れば、そこにいたのは待機していたのは今回の『モグラ叩き』のサポートメンバーだ。

「お疲れ様です。丸手特等、九社前上等!!」
「お疲れさん」

さてこれで思ったよりも『モグラ叩き』が早く終わったため一週間ほどの休暇を得ることが出来た
何をすべきか…

「九社前上等。真戸上等捜査官よりクインケが届きました」

「何で真戸さんからクインケ届くわけ!?何!?真戸さんの私物!?」

スーツケースのキーを開けば出てきたのはSレートの鱗赫の喰種から作られたクインケ、『ヤマグチ壱』だった

「よし、これで後一週間はもつな。行ってこい」
「まじ真戸さんふざけんなよぉーーー!!しかも丸手さんはいかないとかなんなんですかぁぁあーー!」

俺の休暇は1日のみとなった
まじ真戸さんの感ぱねぇ



















隊に戻って行動?そんなことしてねーよ。

俺は人間でもあるが喰種でも得るある。

ほらそこに美味しそうな人間(ニク)があるじゃないか

「九社前上等?」
「木村上等は逸れたのか?」
「いやぁ、面目無い」
「そっか、じゃあこの辺りに隊はいないのか」
「九社前上等…?……っ!?」

「よけんなって…木村上等。

綺麗に切れないだろ?」

「隻眼の喰種…?」

俺の甲赫の赫子についた木村上等の血を舐めれば下に広がるのはさっきの喰種とは比べものにならないくらいの絶品なソース
腰のあたりから伸びる赫子を見て怯える木村上等。

「喰種が…CCGにいたなんて…」
「お前の才能じゃ…俺は倒せねぇよ。


じゃあな」


ぷしゃぁーーと雨のように降り注ぐのは血。
おれはそれを浴びてお腹が満たされるような感覚へと落ちていく

「それじゃあ、いただきます」

《あとで、身体洗わなきゃな。》

そう思いながら、俺はさっきまで仲間だった人間の肉を口へと運んだ







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