本部


「仁。起きなさい」

目を開ければ目の前で俺の名前を呼ぶのは父さんだった

「父さん?どうしたの?」
「お前も喰種の血を引くなら訓練しなきゃいけないことをするんだ」
「訓練…?」
「ああ」

目の前に置かれたのは母さんが作ったであろうサンドウィッチだった。

「人間が食べる物だよね?これって」
「ああ、そうだ。今からこれを食べるんだよ」
「え、でも喰種は人のお肉しか食べれないんでしょ?」
「ああ、そうだ。だが、お前は喰種の子だが、人間の母さんの子でもある。人間として生きるためにはこれを食べないといけないんだ」

父さんにそういわれて食べたサンドウィッチ。
口に含んだ瞬間に口に広がるのは無味無臭のスポンジのようなパンでもなく、乳臭い粘土みたいな食感のチーズでもない。ミルクの香りがふんわりと鼻に広がり、パンに薄く塗ってあるバターの香り。

そう、俺がそれを食べて最初に思ったことは『美味しい』ということだった

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「九社前さん」
「亜門か。どーしたよ?」

名前を呼ばれふり変えればそこに立っていたのは亜門だった。
亜門一等捜査官。アカデミーを首席で卒業し、先ほどの二等から一等へ昇進した男だ。

「この度、20区への配属が決まりましたので、挨拶にと」
「何で俺なんかに挨拶が必要なんだよ。あと首いてぇからどっか座んぞ」

アカデミー時代に確かにこいつとは一個しただが同室になったりと交流はあったが挨拶に来るほどなのか?と思ったがそれ以上に首が痛い。20cm差はきちぃんだよ

「とりあえず、一等就任おめでとうというところかな」
「ありがとうございます。ですが、九社前さんにはまだまだ及びませんよ」
「そりゃ、嬉しい言葉だわ。で、20区に配属ねぇ…比較的大人しかったあそこにもついに本局の捜査官投入か。やっぱり、《大食い》か?」
「それと、《美食家》です。あと、723番、喰種被疑者の件ですね。」
「あー、そうか。てか、お前ら696番の時に《ジェイソン》と出くわしたんだろ?よく生きてこれたな」

俺はそう言って笑った。亜門も少し困ったように笑い話を続ける。

亜門の話を聞きながら俺は『あんていく』に行かないといけないと思った。真戸さんに亜門のペア。あまり相手にしたくない相手だ。特に真戸さんの感の当たり率まじぱない

「そういえば、九社前さん。『モグラたたき』にいくんでしたっけ?」
「ん?ああ、そうだな、1年ぶりくらいだから懐かしいわ」
「生きて帰ってきてください。帰ってきたら飯に行きましょう」
「心配すんなって、一応上官だせ?しかも、今回俺が参加するのはクインケの都合で2週間ほどだ」
「《鬼》でしたっけ?」
「そうそう。今修理中なんだわRc細胞の問題でね」

《鬼》…ね。誰も知るはずがない。俺がこのクインケ《鬼》に執着する理由を

なんたって、このクインケ《鬼》のもととなっている喰種は俺の親父だから。
親父が他の捜査官のクインケとして雑に扱われるのは嫌なんだよ。







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