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「ふぅ…」



通学路で1人溜息をつく。
昨日の夜、れたすが加わってミュウミュウは3人になった。残すところはあと2人。

今のところトントン拍子に事が進んでるけど、結構大変だな…。
私が白金達と出会ってからまだ1ヶ月も経っていないのにも関わらず、めまぐるしく回る日常に疲労を隠せない。

とにもかくにも、



「カフェの仕事、楽になるといいなあ…」



死んだ目をしながら独り言を呟くと、それまで静かに横にいたマシャが警報を鳴らしだした。



《ナマエ エイリアン ガ イル 》

「…!」



その言葉を聞いて瞬時に敵の姿を探す。
まったく、心休まる時がありゃしない。

─しかし暫くしても、特に怪しい影は見当たらない。


「…おっかしいな、マシャほんと?」
《イル イルヨ》
「昨日の反応も微妙だったしなあ…」
《デモ イルヨ》


もう1度くるりと辺りを見渡すも、それらしいものは見つからない。
日頃の戦いで、マシャも私と同様に疲れているのだろうか。


《イル イル》

「うーん…方角とか言ってくれると助かるんだけど」

「居るよ」

「!?」


もはや機能の問題だと決めつけてマシャをつついていると、どこからか楽しげな男の声が聞こえてきた。


「ボクたちの計画を邪魔しようっていうから、どんなヤツか見てたけど、けっこー気に入っちゃったよ」

「え、っわ!?」


声の発生源を特定して見上げる、と同時にバサッと上から布のようなものが降ってきて視界が遮られた。


「なにす…っ!」


急いで布をはぐと、視界いっぱいに肌色が広がり、唇に柔らかい何かが触れた。
薄く開かれた琥珀の瞳に裂け目のように浮かぶ瞳孔は、人間のそれではない。

「…!」

しばらくぼうっとその瞳に魅入るように固まっていたが、段々と理解したこの状況にハッとなり、目の前のヤツに拳を食らわそうとした。

しかし、そいつはおっと、なんて言いながらひょいと身を翻すように避けると、舌なめずりをしてさっき私に被せた布、もといマントを片手で担いだ。



「ボクの名前はキッシュ──とりあえずご馳走様」



悠然と自己紹介するキッシュの姿に、段々と怒りと羞恥で顔に熱が上がる。

キッシュはそんな私の唇に人差し指をおくと、今日は挨拶だけにしておくよ、と言ってあっさり去っていった。

たしかに、こんなシーンあったかもしれない。けど、けど、



ヤツがいなくなった後も暫くの間、私は赤らんだ顔を隠すこともできないまま立ち尽くしていた。耳が出てないことが唯一の救いだ。



《ナマエ ナマエ》



心配そうに私を呼ぶマシャの声も頭に入ってこない。










──ファーストキスがアイツなんて













(初めてのちゅう)
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うちの夢主は恋愛面にはめっぽう弱い感じです。ゆるして



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