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「わざわざハンカチを?お嬢様は差し上げると申しておりましたが」
「いえ、持っていても気後れして使えないので…」
赤坂さんにみんとの住所を調べて貰った私は、次の日マシャを連れてみんとの家(もはや城)に来ていた。
「お客様?あら、名前さん」
また豪邸ならではの階段から、みんとが降りてきた。
「名前でいいよ、昨日はハンカチありがとう」
ばあやさんがお茶を入れに行くのを確認し、アイロンがけしたハンカチを差し出す。
「それだけの為にわざわざいらしたんですの?」
「いや、ちょっと聞きたい事があって」
「なんですの?」
「最近変わったことない?──例えば身体能力が上がったりとか…ペットの行動がおかしかったりとか」
みんとの表情が訝しむものに変わっていくのを見ながら屋敷の中を見渡す。
だよね!急に来てこんなこと聞かれたら怪しむよね!!
豪華な壺や重厚そうな扉を視界に入れつつ、一番重要な事に気づく。
ミッキーが、見当たらない。
「ねえ!ミッキーは今どこ!?」
「ミッキーなら外に…」
戸惑ったように示すみんとの指の先には今しがた入ってきた扉がある。
その時キィ…と重たい音を響かせながらそれが僅かに開いた。
「ミッキー…?」
「ヴヴゥ…」
扉の影から姿を現したミッキーは唸り声を上げながら徐々に巨大化し、キメラアニマに豹変していく。
《キメラアニマ! キメラアニマ!》
「─みんと、下がって!」
「わ、たしの、わたしのミッキーが…」
みんとはショックと恐怖からか、階段にへたりこんでしまっている。
ペットが化け物になったんだもの、それも当然か…。
「ミュウミュストロベリー!メタモルフォーゼ!!」
私は素早く変身し、みんととミッキーの間に降り立った。
「そこのエイリアン!ミッキーから離れなさい!!離れないなら…
地球の未来に、ご奉仕するにゃん!」
決めポーズをしっかりとキメ、キメラアニマと私の変身ですっかり困惑してるみんとを抱えると、大丈夫だよと声をかけながらキメラアニマの攻撃を避ける。
「ストロベルベル!」
「──っやめて!!その子を傷つけないで!!」
「えっ」
武器を召喚すると、みんとが焦ったように懇願してきた。
どうしようもないので、とりあえずストロベルベルでバリアを張り、相手の攻撃を凌ぐ。
しかし、みんととミッキーを気遣うあまり、どうしても防戦一方になってしまう。
これは1人じゃ無理!
「変身して、みんと──信じられないと思うけど、貴女も仲間なの…!」
「嘘…嘘よ、だってわたし…」
もうバリアを張るのは限界で今にも吹き飛ばされそうだ。
マシャがみんとの近くに飛んできて、変身ペンダントを吐き出した。
遅いよマシャ!!
「そのペンダントで変身して!」
「そんなの無理よ!できるわけないじゃない!!」
尚も否定し続けるみんとに焦りが溜まっていく一方。
キメラアニマが腕を振り上げ攻撃態勢に入り、私は更に声を張り上げた。
「っお願い!自分を信じて、みんと!!」
「もう…、もうやめてえ!!!!」
その瞬間、辺りは眩い光に包まれ、光に眩んでなにも見えない視界の中、みんとの声が聞こえてきた。
「ミュウミュウミント!メタモルフォーゼ!!」
(みんとの変身)
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みんとって一人称が最初は「わたし」なのに後から「わたくし」にチェンジしてますよね。どうしよう。
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