▼ だから仕事しろってば!
念のため初めに言っておくが、私はれっきとした女だ。一応胸だってあるし、男性特有のアレはないし。
ただ、女にしては身長170センチ越えと大柄で、顔立ちも中性的。胸も小さい(しかもいつもサラシを巻いているからほぼないに近い)し、髪型もショートカットときたもんだから、初見で私が女だと分かる人はほとんどいない。そして私が『真選組の隊服』を纏っていれば、もう分かる人はいなくなる。
いや、むしろその方が私にとっては都合がいいのだけれど。
だって、今私が女人禁制だと謳われる真選組に所属できているのも、この男の様な見た目ゆえ_男として真選組に所属しているからだ。
*
すっかり暖かくなった、そんな春の日の朝。晴れ渡った青空に、チュンチュンと可愛らしい雀の鳴き声が響く。
そんな中、私はというと、襖をスパーンと勢いよく開け、
「沖田隊長、いい加減起きてください!」
...上司を起こす羽目になっていた。
「なんでィ、母ちゃん。今日は日曜ですぜ」
「誰が隊長の母さんですか。あと今日は火曜日です。あと十分で会議です」
「さっすが名字。全部ツッコミやがった」
「いやそれより早く着替えてください」
また遅刻すると副長に叱られますよ、と促せば「それを狙っているんだよ」と一言。「土方さんの心労を増やそうと思ってねェ」
とんだサドディスト野郎である、知ってたけど。
「土方さんに怒られる俺の身にもなってください。はいはいさっさと着替えた」
「................」
「無視かよ...」
だが沖田隊長はアイマスク(デザインが独特なやつ)をつけ直すと、あろうことか二度寝し始めやがった。...一応私の方が年上なんですけど。
「(あー!めんどくせぇー!)」
このまま放っておきたいけど、これで会議に参加しなかったら怒られるのは私。それは嫌だ。副長怖いんだよなぁ。眼光鋭い副長_土方さんの顔を思い浮かべた。絶対「士道不覚悟で切腹だ!」とか言ってくるよ。めんどくさっ。でも最近このセリフ多用しすぎて全然切腹します〜って感じじゃないよね。まあ言わんけど。
「(大体、なんで私がこんな目に...)」
そもそも、私だってこんなむさ苦しい場所に好き好んで所属しているわけではない。むしろ願い下げだ。汗臭くて本当にやってられない。デリカシーだってないし。
「(...一回、まじでアイツぶん殴ろう)」
私をこんな羽目にしやがった張本人の顔を思い浮かべ...そして自らの不幸を呪った。
▽
以下設定
名字 名前 (デフォ名:綾小路 真)
19歳。真選組の平隊士。1番隊所属。剣術の腕前はそこそこ。沖田関連で色々雑用等押し付けられている。苦労人。
中性的な顔立ちと、短く雑に切ったショートカット。声は低く、ハスキーボイス。身長は175cmほど。スラッとした体型で胸はあまりない(本人は、むしろ動きにくくなるので気にしていない)。普段はサラシで隠している。
整った顔立ちのため女性にモテる。何度か告白されているが、(一応女なので)丁重に断っている。周りの隊士からは羨ましがられている模様。
とある事情により真選組に性別を隠して所属しており...?
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