目に遮光カーテン欲しい



...私がこれからもモブであるために必要なこと。それは、今回の修学旅行とその事前学習をひっそりと行うこと。事前学習の調べ方は各班の自由だ、だから当然図書室で調べるという案もある訳でして。でも、絶対私からは言い出したくなかった。もし図書室で調べることになっても、極力黙って過ごすつもりだった。それなのに、それなのに...!

「本当!?影谷さん!」
「そっか、影谷図書委員だったな!」
「ひかりちゃん、本好きだもんね!」

 いやいやいやいやそんな眩しい目で見ないでくれ。そんな期待するような目で見ないでくれ。眩しいから、オバサン死んじゃうから。お願い、300円上げるからこちらを見ないでくれ。

「本当だよな、影谷。前、オススメの本教えてくれたんだよ。図書室のこと、熟知してるって感じだった」

 にこやかに言い切るディーノさん。あーイケメンだー、でも今はその笑顔がただひたすら憎い。

「(いやだってこの流れで図書室案内して?とか言われたらどうすんのコレ!?モブにあるまじき行為だよ!)」

 ポーカーフェイスの裏で私は荒れていた。私はできることならずっとモブでいたいのだ。原作が終わったからこそ、これから起こることは全て予測できない。だからこそ、彼ら主要キャラと関わってしまえば自分の命は保証できないのだ。だいたい、この世界にとって前世の記憶持ちである私はイレギュラーだろうから、目立たないようにひっそりと生きていたのに。

「(だいたい、普通ならしとぴっちゃんがこの班に入るべきでしょ、今日は何か学校休んでるけど)」

 奇抜なファッションをしている炎真君と同じく至門中学校からの転校生の姿を思い出す。代理で炎真君が彼女のくじを引いていたけど、確かC班だったような。獄寺君、班変わらなかったら大変だっただろうな...。いやでも、たとえ班が違っていたとしても、彼女ならどこまでも追いかけてくる気がする。

 だいたい、彼女がなぜ今日欠席しているのかよく分からない。彼女が風邪を引く様子が思い浮かばないし、未だに謎が多い人物だ。

 閑話休題。とにかく、今はこの状況をどうやって切り抜けるか。

「(まだ図書室に行くだけなら、まだモブとしての立場も大丈夫かもしれない。図書委員だし、図書室の配置を熟知しているのもまだ誤魔化せる)」

 だけど、一番の問題は。

「なぁ、ならどの本を見ればいいとか分かるのか?」
「う゛う゛ん、私が詳しいのは小説だけだから」

 これである。
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