解を間違えただけなのに



 しがないオタクである私は、本のことになると途端に止まらなくなる。他のことには何とか自重できる、今までだって主要キャラ、青春時代を共にしたリボーン達を見ても、自ら関わったりなどせず、モブとして常に最適解を出していた。物語にとって、イレギュラーである私が関わってしまうことで原作が改変されてしまうのが怖いということもあるが、マフィアなんて物騒なもの、漫画で見る分にはいいけど、実際体験なんてしたくないというのが本音だ。

 だけど、本当に本のことになるとダメなのだ。語りだしたら止まらなくなる。モブであることも忘れ、べらべら喋りすぎてしまうのだ。それは、こないだディーノさんにやってしまったように...待てよ、今思えばあの時の軽はずみの行動が、今正に私の首を絞めてないか?

「(やっぱり、原作終わったからって変な行動するんじゃなかった...!)」

 ただ図書室に案内するだけだったらこんな状況にはなっていなかっただろうに。原作が終わったのに、今更こんなフラグがたつのなんてごめんである。ただただ過去の自分が憎い。

「う゛う゛ん、私が詳しいのは小説だけだから」

 だからこそ、これ以上自分から墓石を掘るわけにはいかない。山本君からの純粋な問いを思い切り否定した。思っていたより低い声が出てびっくりした、ごめんな山本君。だがこちらとしても必死なんだよ、モブの立場を守るためにも。

...沢田君、炎真君。そんな怯えたような目でこっちを見ないでくれ。本意じゃないから、言っておいて悲しくなってきたから。

「そうなのか?小説以外にも詳しそうに見えたが」
「いや、全然そんなことないんで!!!私、小説以外の本の場所本当に見当もつかないんで!!!全然お役に立たないと思います!!!」
「お、おう。そうなのか...」

 ディーノさんからの問いを食い気味に否定する。ドン引きされたと思うけど、こればかりは仕方がない。

「け、使えねぇやつだぜ」

 獄寺君、普段なら絶対苛立っているけど、今この状況ならすごく助かる。ありがとな、もっと言ってくれ。そしてなんならこの班の分の事前学習全部済ましてくれ。全ては10代目のために。まあさすがにそれは申し訳ないので、

「私、ネットで調べてこようか?」
「あ、ひかりちゃん本当?」
「うん、少しは出てくると思うし」

 要は、図書室から離れてしまえば問題ないのだ。これくらいの行動はまだ許容範囲。





 こちらを見る金髪なんて、私は気付いてない、断じて。
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