お願いだから黙ってて



「えっと、影谷さんだよね?よ、よろしく」
「お、影谷か!よろしくな!」
「テメー、10代目に何か失礼なことしたら果たすぞ」

 すごい、今、目の前であの3トリオが喋った!夢みたいだ、現実だけど!

 にやけそうになる顔を、鍛えあげたポーカーフェイスで隠す。こんなこともあろうかと長年鍛えていたのだ。モブという立場を確立するために、ポーカーフェイスは必需だった。だって、いきなりにやけ顔で話しかけてくるクラスメイトとか絶対モブじゃない。少なくとも私は煽りスキル高い系の主要敵キャラだと思う。そしてこれは自論だけど、その系統のキャラは関西弁キャラが多いのと、あと結構優秀。そして高確率で糸目(某死神漫画のあの人とか)。異論は認める。

 それはさておき、こちらとしても伊達にこの一年半の間、モブキャラの立場を確立しているわけではないのだ。結局修学旅行の班は同じになってしまったけれど、嫌な予感はプンプンするけれど、私が変なことをやらかさない限りは、彼らと関わるのもこの修学旅行だけ。そして、私はまたただのモブに戻ると。

「...えっと、よろしく」
「うん、よろしく!クロームちゃん!」

 多分、今私の笑顔は物凄くいいものだったと思う。少し頬を赤らめながらも挨拶してくれるクロームちゃん、めっちゃ可愛い。癒しっすわ、これは。

「はいはい、あんたら席着くわよ」

 パンパンと手をたたいた黒川花に促され、とりあえず班のメンバーで集まって座ることに。今日の残りの時間は、これからの修学旅行に向けての動きについて、班で固まって聞くというものだった。

「_まあ、イタリアに行くことになったが。まだお前たちはイタリアについて知らないということで、班でイタリアについて調べてもらう」

 プリントが前から配られる。それを見てみるとイタリアの歴史、名所、地理的環境など、各々の班で自由に調べてまとめるということ。修学旅行の一週間前に提出で、調べ方は各自で任せるらしい。

「で、どーすんだ?俺たちの班」
「そーだよね、リボーンの手は借りたくないし...」

 皆、悩んでいる様子だった。一方の私は、心当たりがありすぎて、でもこの間のことを考えると自分からは絶対言い出したくない。だから、だんまりを決め込むつもりだったのに、

「お前らの班は悩むことなんてねえよ、だって影谷がいるしよ」

 ばっとこちらを見る面々。間からひょっこりと顔をだしたディーノさんは、笑顔でまた続けた。

「影谷が、図書室のことなら詳しいぜ!」

 いや、ちょっ、ディーノてめコノヤロー!
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