まだ戻るには間に合うと
あれから少しだけ修学旅行の説明を受けた。ディーノ先生の知り合いの人のよしみで、ホテル代など諸々の代金を安くしてもらい、本来の京都旅行と同じ代金で済んだということ。海外に行って、是非経験を積んでほしいこと。などなど、誰が聞いてもおかしくはないように脚色されていて、ボンゴレの力って凄いなと思いました。
で、問題の班決め。めんどくさいからという理由で、くじで班を決めることに。それでいいのか担任。
教卓に置かれた箱の中に、班分けのくじが入っている。私はモブだし、主要キャラと同じ班になるわけがないと高をくくって、くじを引いた。
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...そして、その結果がこのザマである。
修学旅行A班
男子:沢田綱吉、山本武、獄寺隼人、古里炎真
女子:笹川京子、黒川花、クローム
そして、影谷ひかりこと私。
どうしてこうなった、ガッデム!頭を抱え込んだ。いやこれくじ引きだよね、どうしてお前ら同じ班に固まってるんだ、仲良しか!?
まあ実際には、獄寺君は最初はA班ではなくC班だったんだけど、A班だった佐藤君を脅...交渉してA班になっている。でもその方がいいだと思う、お互いの平和ためにも。
それにしても、私はモブだったはずだ。普通、こんな主要キャラが集まりまくった班に入るわけがないのだ。原作で全く関わりがなかったのに、どうして今頃?この間のディーノさんといい、今回の班決めといい。
でも、私の平穏な日々を守るためにも私はただのモブに戻る必要があるのだ。今は全力で、彼らと同じ班になるのを避けるのみ!
運良く、彼らの班は山本武に獄寺隼人というクラスのイケメンツートップがいる。彼らと同じ班になりたいという女子はわんさかいるため、班を変わってくれる人もいるはずだ。
クラスの中でも、山本ガチ勢と思われる女子に私は声をかけた。
「ねえ、良かったら班変わっ「あ、ひかりちゃん!同じ班だね!」
「......へ、」
声をかけられた。振り返ってみれば、ニコニコと笑顔を浮かべる京子ちゃん。あ、可愛い。これは学校のマドンナも納得。
...て、この間もこんなことあったけどそうじゃなくって!
「ごめん、私、他の人に班変わっ「楽しみだね!イタリアに修学旅行!」
断ろうとした言葉はまた被せ気味に話され、聞かれることはなかった。彼女の表情は本当に嬉しそうで、とてもじゃないけど班を変わりたいとは言い出せなかった。そこまで私は冷酷ではない。
うう、京子ちゃんは反則だよチクショウ...。