全ての原因
なんだか悪寒がするため、今日は図書室に寄らずまっすぐ家に帰ることにする。こんなことはよくあって、大抵私はそれに忠実に従うことにしている。嫌な予感ほどよくあたるもんだ、それに今日は特にあんなことを言ってしまった手前寄りづらい。今日から図書室を利用して事前学習を進める班もあるだろうし、私がいくら詳しくないと言っても、主要キャラ達が全く利用しないという確証もない。そう考えると、これ無駄な足掻だな。事前学習が終わるまで、安心して図書室にこもれなくなってしまう。
それは、すごく
「つらぁ...」
思わず口から出た言葉は、本心からのものだった。だって、今まで図書室が主要キャラからも離れられ、尚且つ私の大好きな本に囲まれて思う存分読書を楽しめるスペース、いわばオアシスだったのだ。
そんなオアシス、図書室が事前学習が終わるまで_あと約1ヶ月もの間、安心して使えないのは結構なストレスだ。禿げそう。
「(うーん、図書館まで行こうかな?でも、あそこの本大体読んだし、家から遠いんだよな)」
頭に思い浮かべるのは、家から離れた場所にある並盛町の図書館。町の図書館だが、市民図書館と比べると蔵書数は少なく、何より既にあらかた読んでしまっている。あと建物自体ボロいため、冷暖房があまり効いていない。
市民図書館に行くには電車に乗らないといけないから金銭的にも厳しいし、時間もかかってしまう。
「あー、なんでこんなことになったんだろ...」
去年の今頃、図書室を利用する人が特別増えた訳でもないから事前学習はおそらく行われなかった。去年は普通に京都だったし、わざわざするまでもなかったのだろう。
でも、今年はイタリア。ほとんどの人にとって、イタリアは未踏の地。だから、急遽事前学習をする必要になった。どうせならと、学習方面もさせようという魂胆だろう。
「うー、普通に京都行きたかったのに」
どうしてわざわざ長時間かけてヨーロッパまで行かないといけないんだ。京都も楽しいでしょうが。清水寺とか、今修理中だけどあそこらへんお土産沢山買えるし、町並みとか風情あるしいいじゃん。
こんなところまで、ボンゴレクオリティ出さないでほしかった。あと、ふざけんなあの赤ん坊。というのが今の本音。
もしこうだったら、とそんなタラレバを考えても意味ないけれど、でもやっぱり考えずにはいられない。
溜め息をつきながら、重い足を引きずって帰路についた。