12−1


入江正一は目の前の光景に唖然とした。何故か自宅の窓を突き破ってきた子供(ランボという名前らしい)。そのお詫びと渡されたのは、ワインに札束、オリーブオイルなど高級なものばかりだった。

母親と姉から、ランボを送ってお詫びが入っていた箱を返してくるという雑用を押し付けられ。子供のポケットに入っていた「沢田リボーン」という人の住所を訪れば、何故か日光浴している女性と赤ん坊なのにビールを飲んでいるリボーンさん。

そこからの光景は、現実のものとは思えないほどぶっ飛んでいた。ランボがリボーンに向かって手榴弾を投げつけるも、リボーンは団扇で弾き返す。まともな人が現れたと思ったら、今度はランボが自分に向けてバズーカーを打ち。黙々と煙が晴れた時、そこにはランボの姿はなく、大人の男性の姿が。その男性を追う女性、かする弾丸、まともだと思っていた人物も急に巨大化。

正一はそれらの現象を処理することができず、ついに泡を吹いて気絶した。結局、箱は返せなかった。



「あ、目、覚めた?」

「えっと...ここは?」

正一が目を覚ますと、そこは公園のベンチだった。遊具が沢山あると近所でも人気な公園だが、日が落ち始めているためか、子供の姿も少ない。そして、心配そうにこちらを見る容姿端麗な少女の姿。

「うわああぁぁぁ!」

正一は思わず叫んだ。正一は、あまり女子に耐性がない。特に美人なら尚更。少女は肩まで髪を伸ばし、まるで西洋人形のように顔立ちが整っていた。

「ごめんねー、道端で倒れていたから、そのままにしておくのも悪いなって」

少女は申し訳なさそうに謝った。運ぶ時に引きずってしまったこと、勝手に運んできたことを謝罪している。むしろ、あの状況、あの現場から救ってくれた少女にお礼を言うべきである。正一は、少女に土下座する勢いで謝った。

「本ッ当にありがとうございます!!!」

「いやいや、そんなに大袈裟に謝らなくてもいいって」

「いえ、あなたは僕の命の恩人です!!!」

あの現場にあのままいれば、確実に命はなかった。それぐらい、あそこは危険だった。

「そんなに畏まらなくていいって。多分同い年ぐらいだと思うし」

「いやいやそんな!」

正一には、命の恩人に軽々しく話しかける勇気はない。

「そろそろ暗くなるし、帰ろっか」

「は、はい」

少女はベンチから立ち上がった。正一も立ち上がって、先程まで髪に隠れて見えなかったが、少女の頬に大きな湿布が貼っているのに気付いた。



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