11−5


リボーンの思わぬ事実を知ったり、初めての人達に出会ったりと今日は何かと濃い一日だった。今まさに帰り支度をするハルとその父親を見て思う。

「...そうだ、きみ」

ハルの父親は、別れ際瑞穂に話しかけた。

「これからが楽しみだよ」

その言葉に、瑞穂はパチリと瞬きをした。

「...ありがとうございます」

何だか少し、照れくさかった。

ハルと父親が帰って、瑞穂と山本も帰ろうと1階に降りたところで鼻の奥をある匂いがくすぐった。どうやら今日の沢田家の夕食はカレーライスらしい。

「あらあら、帰っちゃうの?」

奥から綱吉の母親_奈々が顔を出した。

「はい、もう遅いですし。今日はありがとうございました」

「俺も、親父が待っていると思うし。ありがとうございました!」

「そっかぁ。困ったわねぇ...カレーライス、作りすぎちゃったのよね...そうだ!2人とも一緒に夜ご飯食べていかないかしら?!」

良い提案をしたと言わんばかりに、奈々はパンっと手を叩くとニッコリと笑った。



「いただきまーす!うわー、美味しそう!」

山本は目を輝かせるとスプーンを手にとって食べ始めた。

「ありがとねー、2人とも。親御さんが許してくれて良かったわ」

どんどん食べてね、奈々はそう言うとにこやかに笑った。カレーライスの具材は、豚バラ肉に人参、玉ねぎ、そしてじゃがいも。家のカレーと全く同じ具材で、瑞穂は懐かしい気持ちに駆られた。

こうして大人数で食卓を囲むのは本当に久しぶりで、つい昔のことも思い出してしまう。

「...そうだ!獄寺君にも持っていかないとね」

ある程度食べたところで奈々は2階でまだ寝ている獄寺の分も盛り付け始めた。まだ綱吉と山本は口に食べ物を入れたままである。それを見て瑞穂は提案した。

「私、持っていきましょうか?」

「あら、助かるわー!そうだ、瑞穂ちゃんがくれたクッキーも獄寺君に」

クッキーもおぼんにのせて、瑞穂は綱吉の部屋に向かった。

「入るよー」

部屋に入れば、まだ体調は悪そうではあるものの獄寺は既に起き上がっていた。

「これ、奈々さんが獄寺君にって」

「...すまねぇ」

おぼんを机に置く。獄寺はのそのそとベッドから降りた。そして、おぼんを見てつぶやく。

「これは、カレーライスに...もしかして、クックッ」

「クッキーだけど」

「ぐへえ!!!」

「ちょっ、獄寺くーん!?」

どうやら彼のトラウマスイッチを押してしまったらしい。本日二度目、獄寺はまた倒れた。



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