9ー7


腕を引っ張られた直後、すぐ近くで爆音が聞こえた。その衝撃に思わず目を瞑る。心なしか、腕を掴む力が強まった気がした。

煙が晴れて、辺りを見渡せば地面がえぐれていた。それもそのはず、3人からの集中砲火を浴びたのだ。_もしあのまま突っ立ていれば、確実に無事ではすまなかっただろう。

「山本が引っ張てくれたおかげで助かった...」

山本は、綱吉のことも助けていたようだ。綱吉の腕を肩にまわし、瑞穂の腕を掴んでいた。

「...ありがとう、山本」

「おう、それよりも大丈夫か?」

顔、今まで見たことないくらい暗いぜ。山本から心配そうな表情を向けられ、ハッと瑞穂は我にかえった。そこまでひどい表情だったのか、自分は。

「...もう大丈夫、何とか無事だったし」

「そっか、ならよかったぜ」

山本はニカッと笑うと、やんわりと瑞穂の腕を離した。腕掴んで悪かったな、と瑞穂に謝ると、今度は綱吉に向き合った。その際、獄寺に胸ぐらを掴まれ「よくやった」とお礼を言われているが、どうやら喧嘩が始まっている。とは言っても、獄寺が一方的に山本に怒鳴っているだけだが。

瑞穂の傍にリボーンが近付いた。

「瑞穂、お前も一応試験には合格だが...」

「リボーン君、私は不合格でしょ。最後、山本がいなかったら駄目だったし、大体私入る気ないからね?」

「ちっ」

舌打ちされても無理なものは無理である。瑞穂はリボーンに背を向けると、獄寺と山本、そしてそれを宥めようとする綱吉達3人の姿を眺めた。案外、あの3人は相性がいいかもしれない、なんて思いながら。

_やっぱり、思っていたよりトラウマになっていたようだ、あの日一度「死」んだこと。

こちらを眺めるリボーンの視線には気付かない振りをした。




「...ん?」

青年は目を凝らした。艶やかな黒髪を持つ彼は、実年齢よりもとても大人びて見える。彼は、10年前_現在の自分に呼び出された。つまり、過去の自分に呼ばれ、入れ替わってやってきた未来の人物なのだ。

「あの人は...一体」

青年は眼下を見下ろした。そこにいたのはまだ若きボンゴレとその守護者、10年前無視され続けた因縁の相手、リボーン。そして、見慣れない茶髪の少女。だが、どうにも彼女には既視感があった。確か、あの少女は、若きボンゴレ達と同級生で...

そこまで彼が思い出したところで、ボワンと音が鳴った。煙が晴れると、そこには青年の姿はなく、代わりにまだ5歳時ほどの子供が立っていた。



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