9ー6
だが、行き当たりばったりで逃げても必ず限界が来る。必ず、この赤ん坊を出し抜く方法があるはずだと瑞穂は作戦を立てようとして...その考えは一気に吹っ飛んだ。
「ちね!リボーン!」
その可愛らしい見た目には似つかない武器を構えた先程の子供がミサイルランチャーを発射したのである。ミサイルは綱吉達3人を追尾すると、大きな音を立てて爆発した。
「こいつぁなめてっと、合格できねーな」
山本はようやく事の深刻さが分かったのか、笑みをしまうと表情を引き締めた。だが、その表情は好戦的だ。
「リボーン!試験なんてやめよーぜ!今の見ただろ?ランボがミサイル撃ってきたんだぞ!!」
綱吉はリボーンに向かって叫んだ。いくらなんでも、ミサイルはやりすぎである。だが、そんな綱吉の言葉も無視して、リボーンは今度はサブマシンガンを構えた。
「まずは見習いの殺し屋レベルだ」
「見習いのレベル高くない!?」
思わず瑞穂も叫んでしまう。こんな状況に頻繁になる殺し屋など早々いるのだろうか、甚だ疑問だ。
だが、またミサイルが飛んできたことによって否応がなしに現実に引き戻される。爆風でバランスを崩れそうになるものの、瑞穂は足を踏ん張ると、何とかその場に踏み留まった。
「10代目!」
爆音の中で、獄寺の声が大き響きわたった。そちらの方向を見れば、何やら綱吉に口パクで何かを伝える獄寺の姿。手にはダイナマイト...もしかして、最悪の予想が当たってしまうのではないか。そして、その予感は的中する。
「最後はロケット弾だ」
「果てろ」
「サンダーセット」
どこからともなく聞こえてきた3人の声。そしてこちらに狙い定めて向かってくるロケット弾にミサイル、そしてダイナマイト。
「これは、さすがにやばいでしょ...」
攻撃がこちらに向かってくるというのに、瑞穂の足は動く気がしなかった。地面に縫い付けられたように動かない。今になって、恐怖心がきたのだろうか。
攻撃がスローモーションのように見える。これを経験するのは二度目だ。突如、瑞穂の脳裏に走馬灯が走った。
_思い出すのは、13年前のあの日のこと。確かに、一度死んだ、あの春のこと。こちらに向かってくる、あの憎しみを瞳に浮かべ、こちらをナイフを持って向かってきた、「私」を殺した人のことを。
13年前の春のあの日、確かに瑞穂は一度死んだ。
「和田原!」
遠くから山本の声が聞こえてきて、ぐいっと腕を引っ張られた。