9ー5


「しかし、最近のおもちゃってリアルだなー、本物のナイフにしか見えなかったぜ」

「おもちゃだと思ってんのー!?」

会話をしながらも、3人は逃げる足を止めない。止めれば、すぐ攻撃が当たってしまうからだ。しかし、山本はまだ遊びだと信じて疑わなかった。もちろんナイフは本物である。

「とりあえず、ここの角曲がろう」

「おうっ!」

曲がり角を見つけ、瑞穂を筆頭に3人は角を曲がる。瑞穂としては、一旦角を曲がることで視界から外れ、少しでも余裕を持つためだったが、それは無意味に終わった。

「次のえものはボウガンだぞ」

「...まじか、」

既にリボーンによって先回りされていた。ナイフをしまい、その体には大きい武器を構えたリボーンを見て、瑞穂は唇を噛む。

「(多分、最初から曲がることを読まれていた....そりゃあ、こんなにあからさまな角があったら、曲がらないほうがおかしいか)」

角を曲がれば、少なからずとも追われる方は一度は視界から外れ、追う方にとっては厄介になる。視界から消えた数秒だけで、ターゲットに隠れられる場合もあるからだ。だから、この赤ん坊は最初から曲がることを予測していた。あのまま真っ直ぐ進んでいても、こちらが不利なことは変わらないから。

「(やっぱり、ただでは通れないか)」

この赤ん坊相手には、きっと何をやってもお見通しなのであろう。小手先だけの対応では通用しない。では、どうするべきか。次の一手を、考えようとして瑞穂が頭を回転させようとした時だった。

「ガハハハハ、リボーン見ーっけ!」

聞こえ慣れない声が、頭上から聞こえた。声の高さからして、おそらく小さい子供。一度、全員の動きがとまる。

見慣れないその子供は言葉を続けた。

「オレっちはボヴィーノファミリーのランボだよ!5歳なのに学校に来ちゃったランボだよ!」

「ウザイの出たー!」

「...えっと、沢田君の知り合い?」

ガハハハハと笑う子供を見て、綱吉が叫んだ。どうやら彼の知り合いらしい。色々とあってと返事をする彼は、どうやら本当に色々あったようだ。遠い目をしている。

だが、そんな突然のハプニングがあっても、リボーンは容赦がなかった。「続行」と告げられ、今度は弓矢が飛んでくる。

「(全く、息つく暇もない!)」

だが、おかげで分かったことがある。この赤ん坊には作戦など無意味だ。向こうの方が明らかに場馴れしている。素人が立てた作戦など、むしろ利用されて終わりだ。



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