9ー3


「いやいやいやいや、何言ってんだよリボーン!和田原さんは関係ないだろ?!」

「瑞穂も立派なファミリー候補だぞ」

「いやでも、前、和田原さんはファミリーには入らないって言ってたし、お前も仕方ないって言ってたじゃん!」

「オレは、仕方ないとは言ったが、諦めたとは一言も言ってないぞ」

まるで朝の光景を見ているようだ。ここまで人のために怒れる綱吉はきっと大物になる。そう感じた瑞穂は、ポンっと綱吉の肩を叩いた。できる限り綱吉を安心させるために、眉を下げて。

「大丈夫だよ、沢田君。試験受けても入ると決めたわけじゃないし」

それに、合格しなければどっちみち入らなくてすむと思うし。そう続けようとした言葉は、次のリボーンの言葉によってかき消された。

「ちなみに、不合格は死を意味するからな」

...先程もこんなことがあったような気がする。どうしようもなくデジャブを抱いた瑞穂は、未だにリボーンの言葉を遊びだと思っている山本を見て遠い目をした。逃げ道を防がれた気分だ。この赤ん坊がやるといえば、本当に「殺」るのだろう。

「試験内容は簡単だ。とにかく攻撃をかわせ」

「おーし、一緒に頑張ろうな、和田原!」

「あ、うん、よろしく...」

山本の笑顔が眩しい。まさか自分が殺されるかもしれないとは露にも思っていないのだろう。だが、瑞穂の今の心情は、例えるなら今から戦地に赴く兵士のようだ。おそらく攻撃をするのはこの赤ん坊で、場合によっては今こちらを睨んでいる獄寺も攻撃に加わるかもしれない。リボーンの銃の腕前と獄寺の爆弾の威力を加味すると、既に生きて帰ってこれる気がしない。

だが、武器を構えたリボーンから、試験は予定通り行うようだ。

「んじゃ、はじめっぞ」

もう、どうにでもなれだ。スウッと酸素を肺に回して心臓を落ち着かせる。

「お願い、します」

やるからには、きちんと合格して生きる。まだ、「私」はあの人達に会えてすらいないのだから。

赤ん坊は、そんな瑞穂を見やると、口角を上げた。

「まずはナイフからだ」



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