9−2
「お、和田原もマフィアごっこやってんのか?」
「あー、うん、もうそれでいいや」
否定するのも面倒くさい。案の定、瑞穂の隣に立つ綱吉は和田原さん?!といささかオーバーリアクションとも取れる反応を見せていた。
放課後、リボーンにまた呼び出された瑞穂は、獄寺に呼び出された山本と、何やら慌ててこちらに駆けつけてきた綱吉、そしてその綱吉についてきたリボーンと今こうして対面したのだが。
リボーンの自己紹介_マフィアボンゴレファミリーの殺し屋であるというぶっとんだ内容も山本は笑って聞き、
「オレらもガキん時やったろ?刑事ごっこだのヒーローごっこだの」
...と、子供のごっこ遊びだと受け取ってしまった次第である。だが、これは”ごっこ“などではなく紛れもない事実である。
「どーしよう和田原さん?山本、完全にマフィアごっこだと思ってるよ!」
「...待って、沢田君。裏を返せば、まだ山本はマフィアごっこだと思ってくれてるってことだよ」
「それって...?」
「今のうちに、興味をなくしてもらえば...」
「オレも入れてくれよ、そのボンゴレファミリーってのに」
「う゛う゛ん」
対抗策を考えたのにすぐこれである。獄寺が山本の発言を聞いて舌打ちをした。瑞穂も舌打ちしたいところであるが、何とか抑えて脳をフル回転させる。作戦1は失敗。では、作戦2は?
「...何言ってんの、山本。マフィアごっこなんて面白くもなんともないからやめた方がいいって。それに部活もあるだろうし、ね?」
作戦2、デメリットばかり並べる。安直かもしれないが、今現在できることが正直これしか思い浮かばない。
だが、そんな瑞穂の思いも露知らず。山本はニカッと笑うとこう答えたのだった。
「和田原もツナもいるし、面白くないわけねーじゃん!」
作戦2、山本の純粋さゆえに敗北。獄寺がまたまた苛立ったように舌打ちをすると、ギロりとこちらを睨んだ。...こちらだって、八つ当たりしたい気分である。山本は悪くない、悪くないのだが。
「(いや、そーじゃなくって!)」
自分や綱吉のことをそう思ってくれているのは嬉しいが、今ばかりはそれが恨めしい。瑞穂は頭を抱えこんだ。ダメだ、何も思い浮かばない。肝心な時に限って役に立たない脳である。
とんとん拍子で話を進める山本とリボーンの会話から、結局彼が入ファミリー試験を受けることは回避できないことを瑞穂は悟った。
「そーだ、この試験、瑞穂にも受けてもらうからな」
「...うん?」