8−1


中庭に無事おりたった2人の姿を屋上から確認した瑞穂は思わずその場に座り込んだ。安堵から溜め息が漏れる。

本当に、よかった。

おそらくあの赤ん坊_リボーンも学校に来ていたのだろう。瑞穂がフェンスに駆け寄った時は、既にパン一状態の綱吉と山本が中庭に座り込んでいた。

周りは山本の冗談にすることで安心したのか、ゾロゾロと教室に戻っていった。

瑞穂も戻ろうとして_笑い合う2人の様子を見て、ほんの少し、ほんの少しだけだが笑みをもらした。

そして、友人を救ってくれた最大の功労者に心の中で感謝の念を送ったのだった。





_ところで、この屋上。普段は風紀委員長がよく居座っていることで有名である。

そんなところで一騒動が起こり、人が大量に群れ、尚且つフェンスが折れてしまえば。

この屋上、いやこの学校の支配者、風紀委員長の雲雀恭弥がとる行動などただ一つ。

「ねえ、そこで何してるの。咬み殺すよ」

「え、」

サアアと音を立てて、瑞穂の顔から血の気がひいた。屋上に既に人は立ち去り、残るのは現在瑞穂ただ一人のみ。

「アレ、君は」

雲雀が、トンファーを構えた。

確か、前会った。

君には、色々と気になることがあるからね。そう言った彼の口元は、ニヒルに歪んでいる。

「(これ、絶対バレてる!色々バレてる!)」

そういえば、自分は色々と後ろめたいことがあった。風紀委員のサボりや、校則違反のバイトなどなど、数えだしたらキリがない。この前、入院した時必死に考えないように頭の片隅に追いやったツケが今回ってくるとは、いやはや人生とは上手く回っているものである。

_そりゃあ、学校最強の雲雀さんが、並中生、それも一度病院送りにした人のこと調べないわけないですよね!

それからの瑞穂の動きは本当に速かった。先手必勝といわんばかりに飛び出してきた雲雀の動きを躱すと、隙間をぬってドアから飛びてて、流れるような動きで階段を駆け下りた。

どうやった、とか何が、とかそんな次元ではない。瑞穂は持ちうる力全てを振り絞り、昔も合わせて本当に今までで一番必死に走った。「前」、陸上部だったことをここまで感謝したことはない。とにかく、もう二度と入院なんてしてたまるかと、瑞穂は全力で雲雀からの猛追を躱したのだった。




_人間、死ぬ気になれば何でもできる。この数日で瑞穂はこのことを嫌でもかというほど学んだ。


なお、これにより、より雲雀から目をつけられたことを瑞穂は知らない。



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