0ー2


ごめんね、少し取り乱しちゃった。もう年かな、前なら思い出しても泣くことなんてなかったんだけど。

ああ、だからそんな表情しないでよ。え、年は俺たちと一緒だろって。うーん、確かに肉体的な年齢は君と一緒だけど、精神年齢は18+14...やめよ、虚しくなってきた。

ま、色々あったけど一人暮らしをすることになって。荷物を新居に運びこんだの。その年は暖冬だったから、もう桜が咲いていて綺麗だったな。

で、荷物を全部運びこんだのが、ちょうど正午くらいで、お腹も空いたし、ご飯を食べるついでに周辺を探索してみようと思って、携帯と財布だけ持って外に出た。


...そして、私は通り魔に刺されて死んだの。1発でコロッと。

刺された時は、信じられなかったというか。急に体が重くなっていって、やっと「ああ私死ぬんだな」って思った。

怖かったよ、めっちゃ怖かった。死ぬのも怖かったけど、それよりも私は、両親に何も出来なかったことの方が物凄く嫌だった。せっかくここまで育ててくれたのに、私は2人に何も返せないまま、死んじゃうのか、て。


...後悔が大きすぎたから、こうやって前世を思い出したのかもね。運がいいことに、また同じ世界に生まれて。だって、前世の記憶を持った人が生まれ変わるのって、物語とかだと大体別の世界でしょ。だから、よかったよ。2人がいる世界にまた生まれて。生きてさえいれば、また会えるって分かったから。



...私、生まれ変わってから後悔してばっかりだよ。まだ、2人には会いにいけてないし。なんか、会ったらもう赤の他人だって突きつけられるみたいで怖いし、上手く話せる気がしないんだ。

それに、見た目だってさ。名前は一緒で良かったけど、私、前の髪の方が好きだった!前は2人みたいに黒髪でサラッサラ立ったのに、今は茶髪だし、しかもちょっとくせっ毛だし。あー腹立つ。

...あ、別に君のことディスってる訳じゃないから!ちょっと前と違ってイライラしてるだけだから!アイツと似て!

それに、あの私を殺した通り魔もまだぶん殴ってないし。だってあの野郎、私を刺したあと、ニタニタ笑ってたのよ!しかも「これでアイツに復讐できる」って。

男なら、正々堂々復讐せんかーい!..,それだけ、徹さんが強かったってことなんだろうけどね。

...徹さんのことは全く恨んでないよ。今も昔も、私にとってのお父さんは徹さんだけだから。

私にとって家族は、あの2人だけだから。








【彼女はまだ笑えない】



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