6−1
「そういうわけで、瑞穂はお前が次期ボンゴレファミリー10代目候補だということを知ってるぞ」
「ハハ...本当にごめん、和田原さん」
学校からの帰り道。リボーンからあらかた経緯を聞いた綱吉は、瑞穂に対して謝罪の言葉しか出てこない。ダメツナでもある自分も助けてくれる瑞穂には本当にごめん感謝しかないのだが、その瑞穂も巻き込んでしまった。
「いや、いいよ。私も、リボーン君には失礼な態度をとっちゃったし」
「え?」
しかし、瑞穂から出た言葉に綱吉は目を丸くした。瑞穂が子供に対しても、態度を変えるとは思えない。
「まあ、色々あってな。瑞穂は悪くない、オレの不注意だ」
瑞穂の腕に抱かれてるリボーンが答えた。そういえば、いつの間にかリボーンは瑞穂に抱きかかえられている。慌ててリボーンを瑞穂から引き取ろうとして、思いっきり蹴られた。解せない。
「おいおめー、大人しく聞いてりゃさっきから10代目とリボーンさんに馴れ馴れしくしやがって!果てろ!」
先程から黙っていた獄寺が口を開いた。手にはまたダイナマイト。ああ、どうして彼はすぐそんな行動をするのか!
「ちょっと獄寺君、ダイナマイトは、」
「そうだぞ、女性には優しくしろ」
「ぐへぇっ」
しかしまたリボーンが獄寺も蹴って黙らせた。なんなんだろ、この俺たちと和田原さんの扱いの違い。虚しくなる綱吉。
また瑞穂の腕にすっぽりとおさまったリボーンは、先程からどこか穏やかな表情を浮かべる_あまり表情が変わらないため分からないが_瑞穂に本題を切り出した。
「なあ瑞穂、お前、ボンゴレファミリーに入んねーか?」
「んな、」
「リボーンさん?!」
綱吉は胃が痛むのを感じた。こうなってはリボーンを止められない。それは獄寺も分かっているのか、黙ったままである。でも、彼女をマフィアに巻き込ませるのは、綱吉の良心が痛む。
だが、そんな綱吉の心配もいらなかった。一瞬逡巡した表情を浮かべたものの、瑞穂はキッパリと答えたのだった。
「ごめんなさい。私は、ボンゴレファミリーには入れないや」
「んな、(良かったー!)」
「はあ?リボーンさんがせっかく誘ってくださるのに、おめーは断るのか!」
安心した表情を浮かべる綱吉とは対照的に、獄寺の表情は怒りでいっぱいである。リボーンの誘いを無下にする瑞穂を許せないのだろう。
だが、当のリボーンは表情を変えることなく瑞穂に聞いた。
「どうしてか、理由を聞くぞ」