5−4


「あたりだぞ」

「うお、」

パーン、と音をたてて、銃が撃たれた。瑞穂のすぐ横の壁がパラパラと音をたてる。弾丸が、そこにはうまっていた。

「知らない様子だったが、よくあの短期間で導いたな。さすがだな」

「ど、どうも?」

瑞穂が一歩でも動いていたら、確実に当たっていたその位置。当たっていれば、瑞穂の命は確実になかっただろう。その確かな腕前、気配を察知させない佇まい。明らかにこの赤ん坊、ただ者ではない。

_でも、この赤ん坊は沢田君の家庭教師だって言ってた。ボンゴレファミリーがマフィアだとして、彼に関係なんてあるの?沢田君、とてもマフィアだとは思えないけど。獄寺君はともかく。

昨日転入したばかりの彼は、雰囲気から堅気ではない。おそらく、イタリアから来たということは彼もボンゴレファミリーの一員。そう考えると昨日あんなに爆弾を所持していたのもうなずける。でも、どうして綱吉ばかりに固執するのか。

...ちょっと待てよ、今日、獄寺君、重要なことを言ってなかったか?

「おはよーございます、10代目!!」

10代目。確かにそう言っていた。10代目ってことは、沢田君は...!

「そうだぞ、ツナはボンゴレファミリー10代目候補だ」

「...え、私、声に出てた?」

「オレは読心術を習得しているからな」

読心術を習得しているとは、どんな赤ん坊だ。ますますこの赤ん坊、ただ者ではない。読心術を習得している赤ん坊がそうそういてたまるか。

「でも、どうして私にこのことを?あの紙、封筒に入れたのも君なんでしょ?」

この赤ん坊なら、あの紙を封筒に紛れのこませるのも容易いことだろう。だから不思議だった。瑞穂と綱吉は特別仲が良いというわけでもなく、ただのクラスメイトである。そんな自分に、どうしてこんなに重大な秘密を教えるような真似をしたのか。

赤ん坊はフッと笑うと、口を開いて

「それはまだ秘密だな」

「...へっ?」

「まだ、教えることができる段階じゃねぇってとこだ」

「はぁ」

ここまで教えておいて段階なんてあるのか。なんなんだ、この赤ん坊はいったい。

「オレの名前はリボーン。マフィアボンゴレファミリーの殺し屋だ」

また瑞穂の心を読んだのか、赤ん坊ことリボーンは笑みを浮かべてそう答えた。

そして、またリボーンは口を開いた。

「ところで、お前。和田原修治の娘らしいな」



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