5−3
「ええーと、君、どこの子?」
おそるおそる瑞穂は口を開いた。何もかも見透かされているような気がして、少々居心地が悪い。
「オレはツナのかてきょーだぞ」
「ツナ?ああ、沢田君のこと?でも、家庭教師って、君が?」
「それより、」
「(いや、それよりで済ますこと?それ)」
赤ん坊の発言につっこむ瑞穂、だがその赤ん坊は、そんな彼女の様子には目もくれず、いつの間にか持っていた銃を瑞穂に向けた。
「お前、ボンゴレファミリーは知っているか?」
向けられた銃口は、とても冷たく、今にも瑞穂の命を奪うことができると示唆しているようだった。
「ボンゴレファミリー?」
思い出すのは、あの紙のこと。「VONGOLA」と書かれ、紋章_イタリア料理店の紋章にしては物騒なその紋章。ネットで検索しても、イタリア料理店では該当しなかった。
もしかして、あの紋章は赤ん坊の言うボンゴレファミリーとやらのものではないか。
「ボンゴレ」はイタリア料理だから、「ボンゴレファミリー」はおそらくイタリアにある組織?イタリアといえば_そういえば転入生の出身はイタリアだった。昨日、爆弾をたくさん処理していた転入生こと獄寺の姿を思い出す。
よく考えれば、一般人があんなに爆弾を所持できるはずがない。そして、昨日聞こえた銃声。一瞬見えた、赤ん坊のような影。そして、突然パンツ一丁になった綱吉。彼の額の橙色の炎。
_この赤ん坊は、沢田君の家庭教師だって言っていた。あの紙が来たのは私の入院中。沢田君が京子ちゃんに告白して、持田先輩と勝負したのも私の入院中の時。もし、あの時からこの赤ん坊が彼の家庭教師になっていたら?
昨日、銃声が聞こえた後に沢田くんはパンツ一丁になっていた。そして、京子に告白したのも、持田先輩と勝負した時もパンツ一丁だって聞いた。そして、昨日一瞬見えた赤ん坊の影。もしかして、この赤ん坊が彼に銃を撃ったとか?銃に何か細工があるとか。
イタリア、ファミリー、銃。そして、料理店というには物騒な紋章。ひとつひとつ、パズルのピースを合わせるように繋がっていく。そこから導き出せるのはただひとつ。
「_お前が俺の娘である限り、」「もしかして、
「それとは、またいつか関わってしまうかもしれない」ボンゴレファミリーって、
「でも、今日見た光景は全て忘れろ」マフィア?」