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そういえば、今日は球技大会だったと久しぶりのSHRで連絡を受けて気が付いた。それも無理ないと思う。この数日間は、本当に色々と大変だった。
退院自体は、目が覚めて2日くらいでできた。これは、あの人の被害にあった人の中ではかなり早い方らしい。退院の手続きの時、受付の人がやけに驚いた表情をしていたが、見ていないことにしておく。別におかしくない。断じておかしくない。
退院してからも、バイト先に謝りにいったりとずっと動きっぱなしだった。無断欠勤をしてしまったにも関わらず、バイト先の店長はどちらもとても優しかった。むしろ、心配をかけるなと少し怒られてしまった。本当にありがたいと思う。こんな自分にも心配をしてくれる、2人の優しさに少し泣きそうになった。
だから、久しぶりに家に帰ってきやがったあの野郎から心無いことを言われても、殴られてもそこまで痛くはなかった。それよりもあの一撃の方がよっぽど痛かったし、今更アイツのいうことにいちいち傷付いて泣くほどこちらもか弱くない。
頬に貼った湿布が目立つのは癪だが、まだ雲雀のせいにできるだけマシかもしれないと瑞穂は溜め息を吐いた。本当に、あの野郎はどんだけ娘を殴れば気が済むのか。
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球技大会も終わり、現在瑞穂は久しぶりにゆっくりと帰路についていた。球技大会は見学、クラスメイトには残念がられたがこればっかりは仕方がない。バイトもしばらくはなしと言われてしまい、今日は久々に何もない日である。
まだ怪我も完治していないし、今日はゆっくり休もうと心に決めた。
「(そういえば、今日沢田君凄かったな)」
思い出すのは、今日の球技大会のこと。
ダメツナがあだ名だった沢田綱吉だが、今日、彼のことを面と向かってダメツナと呼ぶ人はいなかった気がする。
なんでも、瑞穂が入院中、彼は学校のマドンナである京子ちゃんにパンイチで告白、その後京子ちゃんを巡って持田先輩と勝負し、先輩の髪を抜きまくって勝利をおさめたようだ。
正直、瑞穂は彼がそんなことをしたとは信じられなかった。沢田綱吉という人物は、いつもどこか自信なさげに見えた。
でも、今日の活躍を見てると信じるを得ない。
天井まで届くのではないかと錯覚するほどジャンプした彼が、相手チームのスパイクを見事にブロック。その後も彼のブロックが光り、チームは無事勝利。
クラスの面々にもみくちゃにされた、笑顔の綱吉を見て、瑞穂は安堵したのだった。