プロローグ

「―みのり、叶えたい夢はある?」


『え…?』


急に真剣な顔して私に聞いてきた澪。


『いきなりどーしたの?』


いきなりのことに戸惑いつつそう返した私に、澪は爆弾を投下した。


「…うち、みえたねん。みのりの過去が…」


『!!!』


「…その反応、確かに昔、大変な目にあったんやな…」


自分でも体がびくっと反応するのがわかった。

そんな私に澪は悲しそうに眉を下げ、口を開いた。



「…うちは、沢山みのりに助けてもろうた。せやから、その恩返しがしたいんや。絶対にみのりに悪いようにはせぇへん。やから…」


『…、ありがとう』


何か言おうとした澪の声は、語尾が小さくなり聞こえなくなった。

私の言葉に澪は悲しい顔をし、沈黙が走った。


…正直迷ってる。


確かにこの世界は辛いけど、どの世界でも同じ扱いを受けるような気がして…



…でも。


『…私、私を認めてくれる世界へ行きたい…そして、人を…大切な人を守れる力が欲しい…!!』


この世界には居たくない。

…例え、澪がいたとしても。


「!!!っうんっ!!」


私の肯定に、澪は嬉しそうに笑った。

その後澪は私の額に指を当て、静かに呪文を唱え出した。


「汝を在るべき所へ送る。その後の運が汝の幸せになるよう…


…、貴女に、幸せを…」


途中から、澪は瞳に涙を浮かべていた。


『澪…?』


私の問いに、澪は小さく答えた。


「いやや…ホンマは離れるなんていやや…みのり…!!」


『澪…』


私は澪がこんなにも私を思っていてくれたことに胸が熱くなった。

…でも、私は澪の思いを捨てたくない。

だから私は、自分の付けていたペアルックのペンダントの片方を澪を渡した。


「え…?」


めをまるくする澪に、私は笑った。


『これで…いつも一緒。ね?』


澪は嬉しそうに笑った。

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