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「監督監督!緑間君が本日四回目のわがままを言おうとしてます!」

「なっ苗字それは言うなとあれほど…」

「却下だ。」

「監督俺は何も言って…」

「わがままは三回までだ。分かったら練習してきなさい。」

「わかったのだよ。」

「監督監督!」

「あーありがとな、苗字」

「えへへ、どういたしまして。」

苗字は秀徳バスケ部のマネージャーである。こうして俺のわがままの回数とかドリンクとかボールの手入れなどを主に仕事としている。監督がいるときはなるべくドリンクとタオルを早く終わらせて監督のところに入り浸るのがちょっとした楽しみだと言っていた。
率直に言うと彼女は監督が好きみたいだ。かっこいいらしい。褒められると嬉しいし、なんだかお父さんみたいな。そんな感じだと言っていた。ああしてありがとうと言いながら頭をなでてくれるのが一番好きで嬉しいとも言っていたな。

「?どうかしたか?」

「いえ、あ、監督、ひとつお願いいいですか?」

「?なんだ?」

「マー坊って呼んでも…「だめだ。」えー何でですか!」

「ダメなもんはだめだ。」

「いいじゃないですか!マー坊のが絶対いいですもんっそれにトラトラさんにいいって了承得ましたもん!」

「アイツがいいっていっても私がダメだ!」

「監督のケチ!!」

またいつものが始まったっと思ったら吐き捨てるように「監督のケチ!!」と言う罵声と共に苗字は部室に引きこもった。こうなると後に困るのが俺たちだ。帰れない。

「監督、部室に入れなくなると俺たちが帰れないんスけど…」

「知らん」

高尾が呆れたように言うと、監督は頑固おやじみたいに腕を組みきっぱりと言った。にしても親子げんかなら他でやってほしい。

「知らんって、マー坊位いいじゃないですか」

「よくない。」

「苗字きっとずっと引き篭りますよ。アイツ自分のロッカーに非常食入れてるんですから。何日でも篭もりますよ。」

そうまたも高尾が言うと監督は少しピクリとする。
だが、マー坊とマネージャーに呼ばれるのが嫌なのかすぐに頭を振る。

「監督がマー坊と呼ぶの許すまでここ開けませんから!無理矢理でも開けたらマー坊と呼ぶの許したことになりますからね!」

これぞ究極の選択。と言わんばかりに追い詰める苗字。そうしていると、部室から大きな音が聞こえる。それと同時に苗字の悲鳴も聞こえる。

「え、今の音なんだ?やばくね?」

「苗字!?」

その音に驚いた監督はポケットから鍵を取り出し部室を開けた。?ポケットから鍵……?あるなら早く出せば良かろうが。ま、とりあえず苗字の無事を確認すべくドアを開けるとそこには満面の笑みを浮かべた苗字が立っていた。

「ということで、マー坊監督、許してくれるんですね!」

その直後やられたーと言ったように監督が地面に倒れ込んだのは言うまでもない。

今日も今日とて秀徳は平和なのだよ。



マー坊監督の受難
(公式戦とか練習試合とかではやめてくれよな)
(?マー坊監督なんか言いました?)
(何でもない。今日はコーンを用意してくれ。)
(無茶苦茶なやり方なのに許してしまう俺も俺か。)


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あれ、なんか変だよ?中谷さん変だよ?

とりあえずお疲れ様でした。

3万hit、中谷 仁亮、一つ目、終わり。



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