モブ×尾形百之助(ゴールデンカムイ)〔性〕
2016/06/27 02:03
「初めて見る顔だな」
俺と尾形上等兵が言葉を交わしたのは、俺が彼と同じ師団に入って間もない頃だった。
「は!自分は先月着任した」
「ああ。いいぜ、名乗らなくても。」
溌剌と名乗ろうとした自分を尾形上等兵は遮った。
「え?」
「どうせ覚えないから。」
「は、はぁ…」
「でも、俺のことは覚えていた方が得かもな。」
なんだこいつ、というのが第一印象だった。
飄々と去っていく彼の背中を、俺は少し苛つきながら見送った。
****
それは、暁闇のことだった。
普段から目覚めが早い俺は、日課の鍛練のために外に出た。寒いとも思える外気に気持ちも引き締まる心地だった。
… …
「ん?」
―と、俺は一つの人影を見つけた。訓練場とも鍛練室とも違う方向から出てきた影は、足早に宿舎の方へと去っていった。
「?へんなやつだな。」
ぽつりと独り言。
「誰がだ?」
…それに返す男の声。
慌てて振り返ると、そこにいたのは尾形上等兵だった。
「なっ、何故ここに…!」
「こっちの台詞だよ。それよりさっきの。誰が変だって?」
微笑を浮かべたまま詰め寄ってくる。
「いや、さっきそこから出てきた男でして…」
「ん?ああ、あいつ?」
「え?」
「…はは、そうか。まぁ、変だよな、そりゃあそうだ。」
けらけらと上等兵は笑う。
「でも、お前も変だろ?こんな早朝に一人で出てくるなんてさ。からだ持たねぇぞ。」
…あんたに言われたくない。
そう返すまもなく、尾形上等兵は「じゃあな」と言って去っていった。
「…。」
モヤモヤ、イライラしつつ、俺は鍛練に向かった。
(そういや尾形上等兵、どこから出てきたんだ?)
一つ、そんなことを考えながら。
***
「あ、…く、ぅ…」
「もうイくのか?早いな。」
「ンッ、も、もう…無理…っ」
「いいぜ、出せよ。」
何故俺はこんなことをしているのだろう。
尾形上等兵に、自分の陰茎を口淫させるなど。
上等兵に亀頭を舌で先程以上に刺激され、俺は彼の口の中に射精した。
「ンッ……」
一瞬苦い顔をするも、ごくんと精液を飲み込むといつもの飄飄とした表情に戻った。
「たくさん出しやがって。制服が汚れたらどうしてくれんだよ。馬鹿。」
「ハァッ…ハァ……っ、、」
罵倒されても何も言い返せない。
口からこぼれた精液を指で掬い取る仕草、乱れた髪、少々汗ばんだ肌…。
何も出来ず彼の姿を観ることしかできない俺に
彼の肢体は、更なる欲情を煽った。
「…あ?」
気がつくと俺は、尾形上等兵を押し倒していた。
「尾形上等兵…っ」
「……何、もう一回するのか?」
「…済むわけ、ないでしょう…?」
「…ははっ」
「お前“も”そうなるんだな。」
尾形上等兵は嘲けながら、自らの服に手をかけた。
***
『俺のことは覚えていた方が得かもな』
あの言葉を思い出す。
暁闇に会ったあの男も…そして他の男達も、きっと、彼とこういう事をしたのだろう。
きっと、今の俺と同じ感情を抱いたのだ。
―あんたをとことん、犯してやりたいと。
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