ベッドの上でのお二人さん (月松)
2014/07/11 00:27
「松島田、俺は誰?」
「え?月見里CEO…でしょう?」
「ちがうったら…!」
確かに俺は月見里だしCEOだから合ってるけど。
けど!!
「こーいう時くらいは名前を呼んでって、言ってるじゃん…なぁ…?」
今は“私的な”時間なわけで。
そんな時間にCEOと呼ばれると、何だかすごーく寂しいわけで。
俺は毎晩、松島田にお願いをしている。
「いや、無理ですよ」
でも、松島田は聞く耳を持ってくれない。どうしてと聞いたら、
「上司の名前を呼ぶなんて、そんな事恐れ多くてできませんよ。」
と言われてしまった。
飽くまで仕事モードらしい。それなら、上司の言うことを素直に聞いてほしいものだけど。
松島田はよくわからない男だなと思う。
「…お前に名前呼ばれたら俺どうなんのか、知りたいのになぁ。」
「…どうって?」
「え?わかるだろ?」
「っ……。やめてくださいよ、本当に…。。」
顔を真っ赤にさせて松島田は俯いた。
来た来た。松島田のこういう顔が本当に堪らないんだ。よくわからないけど、可愛い男だ。
赤面する彼を見ていて、俺は妙案を思いついた。
「じゃあ、こうしよう?」
「?」
「俺もお前を名前で呼ぶから。俺のことも名前で呼んでよ?」
「…??なにを言って、ンっ」
こっちを向いた不意に唇を奪った。
いつも以上に優しく、深く舌を絡める。
「んっ…ん……」
当の松島田はすぐに抵抗をやめて、蕩けたように俺の舌を受け入れた。
ゆっくりと唇を離すと、まだ物欲しそうに、切ない表情を浮かべた。
「こうしてしまうくらい好きなんだよ、…学。」
「……。」
「…駄目?俺じゃあ、お前の上司にしか、なれない?」
「…………。」
沈黙が続く。
やっぱり、言ってくれないか。
そう思った時、
「……光、さん…」
あ。と、素で声が出た。
「い、今なんて?」
「…光さん」
「!!!」
松島田の声を初めて聞いたような、そんなレベルでの感動だった。
思った以上に、それは、可愛くて、可愛くて…
「…で?どう、なんですか…?光さん…」
「〜〜〜〜〜っ」
「?ちょっと?光さん…??あの、名前で呼ばれて、どう…」
「ごめん、」
「え?」
「やばい。我慢出来ないわ。」
「え?光さ、ちょっ、うわッッ…!」
燃えた気持ちのままに、俺は松島田を押し倒していた。
ほんと、やばかった…。
fin
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