これが片想いってやつ(フラシュウ)
2014/01/13 22:20

キリ番を踏まれたナイヨ^^さんからのリクエストで、フランチェスコ×シュウ・トドロキです。
ナイヨ^^さんリクエスト有難うございました!
_________



俺が奴を意識したきっかけってのは、ラブストーリーみたいにそんなときめくものではない。

初めて会ったときにした、挨拶のキス。
それに過度に反応し、顔を真っ赤にさせて飛び跳ねた。あわあわと、かなりの動揺をみせた。
そんな様が新鮮で、可愛いなと、ちょっと思ったっていう。
それだけの話。

…それだけ、だったのに、何故か今の今まで、俺は彼にアタックしつづけている。
軟派な言葉をかけたり、ボディタッチをしてみたり。どれも全力で拒絶されてきたわけだが。


唯一成功してるのは、“これ”くらいだろうか。

「…シュウ、」

夜な夜な部屋に忍び込んでの、夜ばい。
毎晩来てるのに、彼は全く気づかず、熟睡している。日本人は皆こんなにも鈍感なのだろうか?

「…。」

彼の顔を覗き込む。
いつもの生真面目な顔ではなく、弛緩した安らかな顔。
俺は、いつもの顔よりこっちの方が好きだ。

「おーい。」

頬をつついても寝息を立てている。本当に鈍い。

「…起きないなら、またしちゃいますよー…?」

そう小声で囁き、首筋にキスをする。
いつものことながら、反応がないのはつまらない。

「……あーあ。」


キスは楽しいけど、ものたりない。
今夜も不満足のまま、こっそりと寝室を後にした。





「…あれ、トドロキさん」
「ん?」

翌日。
食堂で朝食をとっていたら、近くの席にいたマックィーンと彼の話し声が聞こえてきた。

「首になんか赤いのが」
「え、赤いの?虫に刺されたんじゃないですかね。」

どうやら、俺がつけたキスマークについて話してるようだった。

「キスマークじゃなくて?」

にやにやしながら問い掛けるマックィーンに、彼は「まさか」と笑って返した。

「相手がいないですよ。」
「知らない間に、とかありえますよー。」
「いや、そんなことされたら厭でも気がつきますって。」




それが気がついてないんだって。
鈍感だなぁ。


俺はちょっと嘲けながらも、少しの寂しさと共に、朝食をとったのだった。


fin




prev | next


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -