馬打×桑田(ダンガンロンパ)
2013/09/02 22:21

馬打(うまうち)っていう、クズなおじさんはオリキャラです。オリキャラと版権キャラの絡みが苦手な人はご注意!

――――――――――




「お、おかえ」

怜恩の声は、競馬新聞をテーブルにたたきつける音で遮断された。

「………」
「…あ、う、馬、打、さ…」

恐る恐る声をかける。反応はない。
怜恩はこの沈黙が厭だった。

馬打は冷蔵庫から缶ビールを取り出し、ソファにドカッと座る。

「………怜恩、こっち来い」

睨みつけるように怜恩を見、馬打は言った。

「おら、早く」
「ぅぁ、は、はい…」

恐くて足が動かない。
でも、行かなければ虐げられる。
怜恩はゆっくりと横に座る。馬打は無表情のまま、缶ビールを開けた。

「10万」
「え」
「賭けたんだ、今日は。なんでだと思う?」
「え…えっと…」
「レオンって名前の奴がいたんだよ。レオン。てめぇと一緒だ。」
「レオン…」
「ピンときてよ。有り金全部、賭けたんだ。」

つらつらと話す馬打をみて怜恩は内心、少し安堵した。
今日は勝ったんだ。
口ぶりから、そう思って。


「とんだ失敗だったがな」

ビシャ!
馬打は、ビールを怜恩の顔目掛けて思い切りかけた。

「うわっ、、!」

安堵した矢先のことで、怜恩は動揺した。安堵すべきではなかったのだ。

「負けたよ。大負け、大損だ!16着だと?ふざけんじゃねぇよ!!!」

さきの怒りを思い出したのだろう。声は話すほどに荒々しくなっていき、顔はどんどん殺意に満ちていく。
ついには横に座る怜恩を乱暴に押し倒した。

「なんだ?レオンて名前にはムカつく奴しかいねーのか?てめぇみたいにぶん殴りたくなるようなカスしかよぉ?!!」

馬打は怒りにまかせるように、怜恩に騎乗し、拳を思い切り振り下ろす。
肉がつぶれる厭な音と怜恩のとぎれとぎれの悲鳴が部屋に響く。

「い゙っ、っ、あ゙ッ、、!」
「なぁ、なぁ、10万どーしてくれんだ?責任とれよ、なぁ!?」

理不尽な罵声を浴びせられても、反論をする間は与えられない。与えられたとしても、言えば更に殴られるだけだが。

…と、突然ぴたりと馬打は殴るのをやめた。

「ああ、そーだよ」

何かを思いつき、にやりと悪い笑みを浮かべた。

「なぁ怜恩。お前、金持ちの野郎にも気に入られてんだろ?」

怜恩の脳裏に我修院やクリスが浮かぶ。厭な予感がした。次の言葉を、聞きたくなかった。

「そいつらに媚びろよ?そしたら10万くらい簡単に貰えるだろ?」

怜恩はゾッとした。
彼らとの関係はそんなものじゃない。なのに馬打にそういわれ、汚された心地がしたのだ。

「…なぁ?」

さっきとは打って変わった猫撫で声。だが目には優しさなど一つも移っていない。


「……わかり、ました…」


そう言うしか、選択肢はない。


「ハハッ、お前はいい子だなぁ。流石俺の怜恩」


途端に機嫌を直した馬打は、怜恩の口に深くキスをする。

「んッ…」
「絶対に離さねぇよ。」


口腔を弄ばれながら、怜恩はぼんやりと思った。


“馬打さんにとって、俺は何なの…?”


わからない。
わからないまま、ただただ、馬打が自分の服を脱がすのを、傍観していた。



fin



prev | next


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -