不良組×シェリフ
2018/02/21 20:09
ーきっと“彼”は、今の私を軽蔑するだろう。
ー四人の愛人がいる、今の私を。
発端はブーストだった。
無理矢理な形だったが、私はそれを赦した。
「二番目の彼氏にさせてくれよ?」
その言葉を聞いて、…赦してしまった。
ブーストとの関係を続けて行く内にDJ、ヴィンゴ、スノットロッドと関係が広がっていった。
「狡いなお前。シェリフを独り占めかよ?」
「まぁそう怒るなよ。ほら、分けてやるから」
ブーストとしているところを見られた最初の日、そんな会話があったような気がする。
それから四人との関係が始まった。
ブーストは相変わらず乱暴に抱き、
DJは反対に、優しくキスをしてくれる。
スノットロッドは私の手淫がお気に入りで、
ヴィンゴはひたすらに玩具で責める。
「こんなメス顔、昔の彼氏は知ってんのかな?」
私を辱しめるように、彼らは言う。
「昔の彼氏と今の俺達、どっちがイイんだ?」
そんなこと、比べるまでもないのに。
「ハハ。淫乱だよな、あんた。」
…
比べるまでも……。
…
***
朝。
独り残された私は、行為の後片付けをする。
そこらじゅうに散らばる衣服、タバコの吸い殻、使用済みコンドーム、…。
それらを見る度に「もう引き返せないところまで来てしまったのだ」と、絶望のような諦めのような気持ちにさせられる。そしてそんな時ほど、ハドソンのことを考えてしまう。
彼らとの関係は、満たされない欲を解消するためだけだったはずだった。
なのに最近は、自分のやってることが分からない。
捌け口にしていたつもりが捌け口にされて、
生活をこんなにも支配されて、
ハドソン以上に、彼らに抱かれて。
『淫乱だよな、あんた。』
さっき言われた言葉が的を射ている。
本当はハドソンじゃなくても、最初から誰でも良かったんじゃないか?
彼らのように毎晩抱いてもらえるなら、なんでも良かったんじゃないか?
「…違う…。違うんだ、ハドソン…」
心にわいた疑惑を、声が必死に否定する。
「私はもう、貴方の好きだった私じゃない…。…でも……でも、私は…私には……」
“貴方だけなんだ”
虚しく零れる涙が、ベッドに染みた。
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