Novel
耐えれない
「お、おいジュビアっ・・・どこまで行く気かっ」
「・・・」
ねぇ、グレイ様、ジュビアはもう耐えれません。
ナツさんとルーシィ・・・いや、ルーシィさんが仲良くしているのも、
グレイ様が、1人で苦しんでる姿を見るのも。
ジュビアには、耐え切れません。
「おい、ジュビ・・・」
「グレイ様はすごいです」
無我夢中で、ギルドをでてずっと掴んでいたグレイ様の手を離す。
本当はずっとつないでいたいーーなんてことはジュビア言えません。
「なっ・・・」
「ジュビアがグレイ様だったらナツさんとルーシィさんが一緒にいる時点で狂っています。なのにグレイ様は狂うどころか、笑顔で接している。そんなグレイ様は、ジュビアは尊敬します」
「ジュビア・・・」
「だから、ジュビア苦しいんです。上辺だけで笑っているグレイ様を見るのが、心で泣いている、グレイ様を見るのが」
ジュビアは全部わかります。
ずっと、あなただけをまっすぐに見てきたから。
「ジュビア、」
「だからグレイ様、もう我慢しないでください、そんなグレイ様を見てるとジュビアっ」
「もういい、ジュビア!」
その瞬間、ジュビアは暖かいなにかに体を包まれました。
え、と顔を上げると、グレイ様がジュビアを抱きしめていました。
「グ、グレイさっ」
「もういい・・・もういいよジュビア・・・お前がどれくらい俺のこと見ててくれてんのがよくわかった・・・」
「グレイ様・・・」
「俺は大丈夫。今度からはジュビアになんでも相談するから」
ギュっと抱きしめてくれるグレイ様の腕が恋しくて、ずっと抱きしめられていたかったけど、
グレイ様がこうしていいのは、ルーシィさんだけだから、
「・・・グレイ様」
「・・・ん?」
「・・・離してください。グレイ様がこうしていい相手は・・・あの人だけです」
ジュビアからグレイ様を突き放しました。
もう、ジュビア溶けてしまいたい。
自分を押し殺してしまう自分を、許せないから、
「ジュビアっ、俺はっ」
「ジュビアはグレイ様が大好きです。仲間としても、異性としても」
「ジュビアっ」
「だからこそ、ジュビアは迷惑をかけたくないんです。大好きな人を、ジュビアのちっぽけな気持ちで困らせたくなんてないんです。現に、グレイ様にはルーシィさんがいます。ジュビアが入れる隙なんて、入れる資格なんて最初からなかったんです」
「ジュビアっ」
「ジュビアが気持ちを伝えたこと、迷惑だってわかってます。でも、伝えることを
許してください、ジュビアはグレイ様が大好きです」
「いい加減にしろ!」
突然グレイ様は大声をだしました。
「グレイさ・・・」
「確かに俺は今でもあいつを好きだ。でも、今ではお前だって同じくらい大切だ。いつも俺を心配してくれて、情けねぇけどいつもお前は俺を守ってくれた。さっきだって」
「っ」
「ジュビアがさっき気持ちを伝えてくれて正直、すげぇ嬉しかった。お前の気持ちはちっぽけなんかじゃない、資格がないヤツなんてこの世にいねぇよ、でも、でも!」
「グレイ様・・・」
「俺はジュビアの気持ちには答えられないっ、ルーシィかジュビアかで迷う男なんだ俺はっ!俺こそ資格なんてないんだよ!」
「そんなことありませんっ!」
「俺には資格なんて最初からなかったんだ・・・だから神様はルーシィをナツとくっつけたんだ」
「グレイ様!」
グレイ様が迷っているのは全てジュビアのせいなんです、ジュビアがいるから、グレイ様は・・・
「グレイ様は人を愛せる人です。資格がない人はいないって自分でいっていたじゃないですか!ジュビアはグレイ様と恋人になりたい、自分だけのものにしたいだなんて思ってません!だから迷わないでください!グレイ様は、まっすぐ、ルーシィさんを愛していればいいんです!いいんですよ!」
「ジュビア・・・」
ジュビア、こんなに泣きながら叫んだのは初めてです。
グレイ様に、ジュビアの今の思いは伝わったでしょうか・・・
「・・・ジュビア、ありがとな。本当、俺はお前に助けられてばかりだな」
「いいえ、ジュビアがしたいようにやってるだけですよ」
「・・・お前の気持ちには、答えてやれないが・・・」
「いいんです。わかってましたから」
「・・・すまねぇ」
「いいえ、でも、ルーシィさんの記憶が戻るまではジュビアがサポートしますよ?」
「はははっ、たのんだぜ」
これでよかったんです。
ジュビアは幸せだったんです。
ただ、この会話を、一人の、桜色が聞いているなんて、夢にも思ってなかったから。