Novel
苦しくて苦しくて
三ヶ月もたつと、なにも感じなくなると思ってた。
でも、無理だったんだ。
ナツとルーシィが片組んでるとか、手を繋いでるとか。
三ヶ月前、ナツの場所は俺だったのに。
いまだにルーシィは俺との関係を思い出していない。ルーシィにとって今の俺は「ギルドの仲間」でしかないんだから。
ルーシィの記憶を戻そうと、色々試した。
ナツに飲ませた薬も効果なし。他の薬も全て効果なしだった。
だから俺は忘れることにしたんだ。
ナツとルーシィの関係も、俺とルーシィの関係も。
「…グレイ、大丈夫?」
俺がボーッとギルドのカウンターで酒を飲んでいると、ミラちゃんが話しかけてきた。
「いつも心配かけて悪いな。ほら、俺は大丈夫。ピンピンしてる」
「…グレイ」
「大丈夫だって、俺はもう…忘れたって言っただろ?」
そう、もう全部忘れたんだ。
ナツとルーシィは今の俺にとって恋人同士で、俺てルーシィはただの仲間でしかなくて。
全部、忘れたつもりだったのに、
こんなにも、胸が苦しいのはなぜだろう。
「…グレイ、無理したら駄目よ。皆グレイの見方よ」
「ミラちゃん…」
「そうです!」
横を見ると、目頭に涙をためたジュビアがいた。
ジュビアには三ヶ月間世話になりっぱなしだ。
色々慰めてくれた。
俺と仕事にいってくれた。
俺が辛いとき、いつもそばにいてくれた。
「ジュビア……」
「ジュビアはいつでもグレイ様の見方です!」
「ほら、皆そう思ってる。一人で抱え込んじゃ駄目よ?」
「グレイ様、何かあったら言ってくださいね!ジュビアがお守りします!」
「ははは!女に守られてどーすんだよ!」
ジュビアには本当に守られてばかりだ。
本当ジュビアには感謝してる。ミラちゃんも。ギルドの皆。
「ジュビアもなんかあったら言えよ?俺が守ってやるからよ」
「はうっ!ジュビア感激!」
「うふふ、二人とも仲良しね」
そんな、幸せなんかすぐに壊れてしまうなんて、
「ただいまー!」
「火食いてえー!」
「魚ぁー!」
俺が忘れていたのに、せっかく、忘れたと思ったのに、
やつらが、帰ってきた。