※5年後設定
はらはらと、白い雪が空から舞い降りて。
はぁーと息を吐けば、白くそまって楽しくて。
今日はクリスマス。
街中はイルミネーションがとても綺麗。ケーキ屋にところどころ行列が出来ていたり。
見渡せば見渡すほどカップルだらけで、1人の私にしてはちょっと居場所がない感じだが、今からの楽しみを考えれば、そんなことどうってことない。
5年前、翔一は東京の大学に進学した。ちなみに私は京都の大学。
私の実家は京都なので、京都の大学を選んだのだが、彼氏の翔一と離れてしまう。それだけが心残りだった。
だけど、彼は言った。「5年後のクリスマス、○○公園の楠木の下で、また会おう」と。
そして私は京都に行った。別に、その間だって会おうと思えば会えた。でも彼も私も結構頭のいい大学に行ったため、研究、研究で忙しくてそれどころじゃなかった。
そんなこんなで電話やメールはしたものの、結局合わないまま、5年の月日が流れたわけで。
今日の、クリスマスが楽しみでしかたなかった。
てくてくと歩いて、昔、よく翔一と来ては眺めていた楠木についた。
楠木は綺麗なクリスマスツリーに変貌していた。
それがとても、とても綺麗でじっと眺めていたら、肩をぽん、と叩かれた。
「っ、」
「クリスマスツリー何十分も眺めて、えらいメルヘンチックになったんやなぁ」
「しょ、翔一!?」
振り返るとそこには、よぉ、と笑う翔一がいた。
5年たった翔一は、すこし大人びていたけれど、へらへら笑っているのは変わらなくて。
やっぱり変わってないなぁ、というとそな短時間で変わらへんわと翔一は言った。
「・・・でも、名前はえらい変わったな」
「へ?」
「髪、ショートにしたやろ?」
「え、あ、うん、」
「それに、少しみらんかっただけでえらい大人っぽくなっとるし、化粧しとるし・・・まぁ、えらい可愛くなっとるっちゅうことや」
「へっ////!?」
「もとから可愛いけどな」と翔一は笑う。翔一は平気でそういうセリフをいうから、どんな顔をすればいいかわからなくて、すごく恥ずかしくて、思わず顔をそらした。
そしたら、「顔、そらさんといて」と声がしたので、緊張しながら翔一の顔をみる。
「・・・ワシの話し、聞いてくれる?」
「う、うん」
「5年間、ワシが名前とあわんやった理由は、研究が忙しい以外に、もう一つあったんや」
「え、」
「仕事しよったんや、ちと金が必要でな」
「そ、そうだったんだ」
「で、ちょうどこの前、溜まったんや、ついにな」
「よかったね・・・?」
「ははは、まだ気づかんとは、やっぱ名前は変わっちょらんな」
「な、なにっ?」
「その金はな、貯金と、あるものを買うためにためた」
すると翔一は、かばんからゴソゴソと何かを取り出して、私に「目、つぶって」といった。
なんのことかわからず、私は目をつぶると、「ええよ」と声が聞こえたので、おそるおそるあけた。
すると、
「う、そ、」
「嘘ちゃうわ」
そこには小さな箱の中にきらきらと光る指輪が入っていた。
指輪の中心に光るのは、きっとダイヤモンドだろう。
「・・・きれい」
「せやろ?名前に似合うと思ってそれにしたんや」
「・・・え?」
「やっぱ鈍感やな、ええか、よく聞いとけ、」
翔一はいきなり私の耳元に顔を近づけた。
そして、
「名前、結婚しよう」
確かに、はっきりと、そう言った。
翔一はそっと顔を遠ざけると、私の顔をみてははは、と笑った。
「ちょ、なに泣いとるん」
「だって・・・!う、れしくって」
「そりゃよかってわ。で、返事は?」
そんなのわかってるでしょ、といえば、わからんなあと翔一はかえす。
「・・・・・・はい」
「・・・」
翔一は返事を聞くと何も言わずに私を抱きしめた。
その温かい温度に、胸が温まる。
「・・・よかった」
「・・・なにが?」
「断られるんやないかって」
「そんなわけないじゃん。私は翔一が好きなんだから」
そう言うと、翔一は「やっぱお前にはかなわんな」といって、優しく、そっと私にキスをした。
約束のキス
今吉さん大好き