「また、ね…」

彼女、蒼のその小さな不確定要素満載の言葉を信じようと思った。いつもならまたいつか会えるといいなで終わるのに。なぜだかまた会いたいと、あの切なげな表情が目に焼きついて離れない。一週間後また会えるだろうと思って、二度目の出逢いから7日後にこの夜の帷がおりた公園に来たけれどそこはしーんと静まり返っていた。

だれも…、いない。

会えないこともあるだろう。それは普通のことだ。それによくよく考えれば一週間後に会いましょうなんていう約束はしていない。一週間後は必ず会えるなんて馬鹿げた保証はないのだ。かるい口約束さえしていないのだから。
かちゃかちゃ……。望遠鏡を組み立てる音が静かになる。むしろ、その音が静か過ぎる空間でイレギュラーな気さえした。風の音が聞こえない。いや、それはただ俺が聞いていない…聞こえていないだけなのかもしれないが。

こんなに静かだったか……。疑問を浮かべながら、ただなにかが足りない、そう心が唱えた。そんな心を誤魔化すみたいに星を覗いてみたけれど、今日はなぜだか興味が湧かない。相変わらずきらきらきらきら瞬いているのに。その世界に惹きこまれなかった。望遠鏡から離れて彼女…蒼が座っていたベンチに座る。見上げればいまにも星屑が落ちてきそうなほど、よく星が見えた……。

あ、星が瞬いた。
(無自覚な一目惚れ)

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