亡念のザムド







いキ た い
逝 き たい
生 きた い


いきたい

それを願うのは間違いですか






「フールイチッ!!」

一昨日は嵐を呼んだ曇天だったというのにその欠片も見せやしない青空。太陽は自己主張し続け光を放ち熱エネルギーをコンクリートに注ぐし、その光を反射するように海辺に相応しい立派な入道雲が白く眩しい。人はというとコンクリートの反射熱に額から汗を滲ませていた。
08時05分いつもの朝の道。真昼になればきっと頭を焦がす御天道様の下、今は朝の涼しさに浮かれながら(それでも暑いが)豆腐屋の看板を持つ前で少女は仁王立ちし満面の笑みを浮かべている。
私は幼なじみ兼又従兄弟くん所謂はとこの家の前で彼を待っていた。

「あら、なまえちゃん。またフルイチ言ってなかった?」
「え?」

何のことだろうと頭を傾げて部屋の奥から出てきたおばさんを見つめた。その横に美味しそうなサナギ豆のお豆腐がお水の中で艶やかに紫色をしている。横目美味しそうだなんて考えながら。

「あの子ったらまた言うの忘れたんだね。今日は7時から心武道の「えーッ!!?」」

心武道!その言葉でピンときた。腕時計を見る08時09分てことはもうすでにフルイチくんは学校に向かっているであろう。

「おばさんっ私行くね!」
「面倒かけるね気をつけて行くんだよー」
「はーいっ!」

後ろで水道の蛇口からピチャンと雫がこぼれ落ちる音がした。



思い過ごしじゃないって気づいてる








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