スキンシップじゃなくてセクハラです







「「ひっじかったさーん!」」

調子良く重なり合う二つの声に障子をがたがたざーっ、と乱暴に開く音。この声と音を聞く度、俺は固めの布団から手を出しまたかと額に置くのだ。俺の朝は、よく二人の似た者同士に叩き起こされ始まる。


スキンシップ
じゃなくて
セクハラです






「うるせェ……」

障子が開けられたことで入ってきた朝の冷たい空気と眩い光。額に置いた左手を下に下げて呟いた。うるせぇったらありゃしねぇ。
指の隙間から障子の方を盗み見して、眉間を寄せる。どうやら乱暴に障子を開け放ったのは女中姿のやつらしい……なんて、確認しなくともほぼ毎朝のことなのだからわかるのだが。

「ほらほら土方さん、早く起きないとお天道様に叱られちゃいますよー」
「……ガキじゃねぇんだ、バカなこと言ってんな総司…」

「バカって言った方がバカなんですよー、ねぇ」
「ねーっ!」

毎度毎度口の達者さに腹が立つやら、同意を求めた総司の声にまたそれに答えた元気だけはいい声にもピキと額から音がした気がするやらどうしようもない。指の隙間から忍び込むように入ってくる光にも腹が立った。たくっ、眩しい。
こんなんだから気が短いと言われるのだろう。気の短さには自覚はある。



「土方さんっ、起きなきゃメッですよ」

男の部屋だというのに、それ以前に新撰組のそれも副長の自室だというのにお構いなしにずかずかと入ってくる女中姿、頭が痛くなる。しかし入ってくること、それ事態をもう気にしなくなるようなことをし始めるからこれまた頭が痛くなるのだ。こいつは俺に近づくと布団に手を突っ込み俺の右手を引っ張り始めたなんてやつだ。総司はくすくすにやにやと笑うばかりで止めやしない。左手が額のすぐ下、目の上にあるというのに何故そっちを掴まない。だいたいなんで、女が……。次々と浮かぶ思考に、ひくひくと引きつる口元、総司が「ふふっ」と吹き出した。

ピキキ、額から音がした気がした。これはきっと怒りの前触れ。


「女が朝っぱらから男の布団に手ェ突っ込むんじゃねェ!!!」

怒号が寒空に木霊した。女中はポカンと口を開ける、泣くかと思いきやニコニコしやがるから気味が悪い。



「あらら忘れてた、男の方には性(サガ)ってもんがあるものね、私ったら不躾過ぎたね総司」
「ぶぷっ、そうだねなまえちゃん」

ピキキキ、また額から音がした気がした。






スキンシップ
じゃなくて
セクハラです

(全てわざとよ)






お題提供
確かに恋だった






ピースメーカーなつもり、つもり。うん。誰だろうねこれは←。本当にごめんなさい私にもわかりませ←

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