嫌悪というもの

中1春。

「ねぇシオン、新入生テスト1位だったじゃん」

「相変わらず秀才〜」


中学生になっても変わらずな女友達。中学へ進学したといっても2つの小学校が合わさっただけのような感じだし、テストもつまらない。変わったことといえばまだぎこちないクラスメイトと制服になったくらいか。


「勉強できるのは個性の影響もあるしね」


あぁ、成績が良いのも勉強を頑張っているからとか言わなくなった。母の個性だよと言えば皆納得してくれる。まぁ最近はテストで個性使うとか関係なく勉強は完璧だ。


「2位って違う小学校だった人でしょ?」

「顔に似合わず頭良いキャラとか笑える」

「順位表見てないからわかんない、どんな子?」

「名前は〜、えーっと…爆豪?だったかな」


久方ぶりにその名前を聞いた気がする。なぜかビンタ以来会っていない。避けられているのか以前のエンカウントポイントはただの通学路。それに私が父の勤める病院で過ごすことが多くなったのもあるだろう。

幼稚園は一緒だったけど接点と言えばいずだけだし、今もクラスがは違うから会う機会は訪れていない。頭良かったんだ、勝くん。帰りに順位表見て帰ろう。


 * 


「400点満点…」


順位表を見れば点数も出ているようで国語、数学、理科、社会でこの点数。小学生のおさらいみたいなもんだしこんなもんか。


「勝くんは396点…本当に頭良いんだ」


彼もほぼ満点じゃんと思いながら下を見ていくと6位にいずの名前があった。でも私と勝くんの下からは50点くらい差があっての団子状態。


「(中学のテストもこんなもんか)」

「おい、シオン」


難しいかもと少しばかり期待していたテストと聞こえた私を呼ぶ声に気分が下がる。常時不機嫌?と言われるくらいに表情は乏しいが今は言わずもがな不機嫌だ。


「何、勝くん」


5年ぶりくらいに見たけど身長伸びてる。160pくらいはあるかな。声も低くなってる。でも人を蔑むような顔というか態度は変わっていなくて、嫌だなと思った。


「てめぇテスト満点だったんだな?どんなズルつかった?個性かよ」

「テストごときで個性なんて使わないわよ。その態度何とかしたら?嫌悪感しかないわ」

「相っ変わらずうぜぇなぁ」


文字通り怒りを爆発させることはなかったけど呼吸が少し荒くて興奮瞳孔若干解放…緊張か焦燥。恐らく前者、吐息に震えも混じってる。


「久々相手にして緊張してる?またビンタされるかもって?」

「はぁ"!?ンなわけねぇだろ!俺を何だと思っとんだ!!!」


掌で小さな爆発が数回。私の記憶の彼と何ら変わらない様子に先程感じた初な勝くんは気のせいだったと思わざるを得ない。


「没個性がまぐれで満点取ったからって調子乗んな。次は俺が1位なんだよ!!」

「どうぞ御勝手に」

「ホンっっっっっとムカつくなぁ!?てめぇも!無個性でクソナードなデクも!!!」


怒りの沸点が低くなるのは私が彼をビンタの記憶に触れたからじゃなくて、いずが関係していたからなのか。

ナードって…確かにヒーローに関しては誰よりもオタクだし内向的で社会性には欠けてる…けど。


「いっつもいずををバカにして…ほんっと嫌い」

「ングッ、別にてめぇーなんなに好かれてほしいなんぞ思っとらんわ!クソスクエア!!!」


square?四角?型にはまったクソ真面目てやつ?


「別に真面目じゃないし、勉強ができるだけ。スポーツもできるから」

「うっせ!!次の学年テストで泣かしたる!!」


後半は終始"怒"な様子だった。意味わからない宣戦布告と無意味な脅迫。昔から自分の思い通りにいかないと癇癪を起こす。

小学校が違うからわかんなかったけどこれはいずに対して相当酷いことしてるなと改めて彼を軽蔑する奴にリスト化する。

でもテストで競う相手ができたのは少しだけ嬉しかったりする。


 * 


「おいシオン!!!何でまた満点なんだよ?!」

「あー?1問ミス?もったいないねー」

「やっぱ個性使っとんな!?」

「そんなわけ」



【嫌悪】
憎しみ嫌うこと。不愉快に思うこと。
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