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こいねがう


つい最近、母さんから呼び出しがあった。
それは、大変めんどくさい用件で。
姉さんが今日呼び出されていたのも、そのことなのだろう。

あぁほんとうに。このひとは非常に愚かしい。
まぁ利用させて頂くのだけれど。


姉さんは、誰にも渡さない。
だって、貴女はのことは僕が守っていくんだから。
だって、貴女の隣は、僕だけのものなのだから。


…絶対に、渡すもんか。




 こいねがう




はらりはらり。
透明なしずくが貴女の頬を伝う。

(綺麗だなぁ…)

知らぬ間に腕が動く。指が動く。
俯いている顔にそっと手を添えて、出来るだけ優しく涙をぬぐう。


「ごめ…なさい。…ごめんなさっ!」


泣いていた理由。それは多分、今日あの人から呼び出された用件だ。
…姉さんの、結婚について。

もし姉さんが嫌がっていたら…それが、凄く怖かったけれど。
でも、この涙は違う。
泣いている訳、それはきっと、…きっと、謝罪。
それはぼくに対しての。そういう、涙。


大きな瞳が僕をうつす。
口から出るのは。僕に対しての謝罪の言葉。
瞳から流れるのは、僕に対しての謝罪の涙。
あぁ、なんて。なんて綺麗なんだろう。


(愛しい人、可愛い人。)
(僕だけをみて、僕だけをうつして。)


涙をぬぐって、じっと姉さんの顔をみつめる。
なんだか痛そうな瞳をしていて、こっちまで痛くなってくる。
あぁ、でも。それでも貴女は美しいんだ。
こんなにも僕を惹きつけて。そうして、離してくれない。
…もちろん、離される気もないのだけど。


「姉さん、泣かないで?」
「れ、れんさっ…っ」
「あぁほら。目が赤くはれてしまうよ。」
「ふぇっ」


どんな表情でも、姉さんは美しい。
でも、やっぱりわらってほしい、わらいかけてほしい。
…僕の、隣で。


涙をぬぐっていた手を、ゆっくりと頬に移動させる。
そうして両手で姉さんの顔を包んで、そっと僕の顔を近づけた。
いつかのように、おでことおでこをくっつけあって。

…でも、もう僕は子どもじゃない。
それだけじゃ満足なんてできないし、歯止めだってきかない。


「姉さん」
「れんさっ!ぇ…んっ」
「姉さん、わらって?」


あぁしまった、溢れてしまう。
貴女への、この気持ちが。

ふれた唇が、あまくてあまくて溶けてしまいそうだ。

そっと顔を離して、にっこりとわらいかける。
すると、ぱちくりと瞳を瞬いていた姉さんは、あっというまに顔をあかくさせた。


「なっ…えっ!れ、れんさん!?」
「ふふ、姉さん…まっかだ。」
「…!!れっ廉さんのせいでしょう!」


あぁ、愛しい、可愛い人









愛しています




(だから、貴女も)
(僕を愛して)




・・・・・・
こっぱずかしい。私が。
義弟これ大丈夫か、大丈夫ですか!!!姉さん気を付けて!←
お巡りさんと叫びたくなった。こいつやばい、私もやばい。

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