novel
その瞳にうつるのは
『れんさん、わらってください。』
僕が泣きそうになると、決まって貴女が言ってくれた言葉。
…本当は、貴女のほうがつらいはずなのに。
その言葉に、笑顔に、優しさに。何度も何度も救われた。
『ね、りんはれんさんの笑顔がだいすきですよ。』
…僕だって。だいすきで、愛しくて。僕だって貴女を、守りたいんだ。
その瞳にうつるのは「廉、聞いてるの?」
「…あぁ、母さん。なんでしたっけ?」
「…だから、あなたの結婚のことよ。だってあなたは由緒あるこの家の跡継ぎなんですからね。相応の相手じゃないと。」
…鏡音家の跡継ぎ、ねぇ。
そんなものに縋って、なにがいいのだろうか。
あぁほんとうに、なんておろかしい。
「でも、僕はその"由緒ある家"の血を継いでないですけどね。」
「っ!!いいのよ、だって女が家を継ぐなんて無いですもの!!だから、…いいのよ!」
「…。」
ただ、姉さんに継がせたくないだけだろうに。
それに、きっと同じようなことを親戚どもに言われてるんだろう。
まぁ確かに”血を継いでない異人の子”に正統なる家名を継がせようとするのは酔狂なことだ。
普通の、伝統やら血やらを重んじる頭の固い親戚たちはしようとも思わないだろう。
母さんにとって大切なのは、今この屋敷での地位を維持してくこと。それだけで。
だからこそ、こんな可笑しいことをしようとする。
馬鹿馬鹿しい。
今までも自分を優先するためだけに、たくさん姉さんを傷つけてきたくせに。
…今度もまた、傷つける。
「あと、凛さんの嫁ぎ先も決めなくてはね。」
「…は、」
「異人の子だし、あんな容姿だし…。ろくでもないとこしか貰い手はないだろうけれど…しょうがないわよねぇ。」
「…っ」
あぁ煩い。
「僕も、異人の子、ですが?」
「いいの!廉はこの家を継ぐ立場です。鏡音の名を背負うのだから、何も問題はないわ。」
うるさいうるさい。
なんて愚かしい人間なのか。
…でも、せいぜい利用させて頂こう。
「僕に、提案があるのですが?」
「?」
「親戚たちが文句も言わず、そして…姉さんの嫁ぎ先も、探さずに済む案が。」
守ると、決めたんだ。
だから
―――――――――貴女の隣は、誰にも渡さない。…絶対に。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「凛さんも、もう女学院を卒業するし…結婚の話ですけれど。」
「はい。」
リンはぎゅっと口を引き結んだ。
そろそろだとは思っていたけれど、まさかすぐに来るとは。
…もう、隣にはいられない、のね…。
「凛さんには、この家に嫁いでもらいます。」
「…はい?」
「あら、聞こえませんでしたの?」
「…すみません、もう一度、お願いします。」
うそ、うそだ。そんなこと、あるわけない。
…あるわけないの。なのに。
「だから、貴女の嫁ぎ先は、この家…廉ですよ。」
「…っ!!!」
あぁ、私は。貴方の重荷にしかなれないのです。(それでも、どうしようもなく嬉しいと感じてしまうのは、)(私が、何処までも愚かしいからなのでしょう)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
後半はリンちゃん視点。前回の話の義母さんに呼ばれた場面だよ!わかり辛いね!!御免なさい!
しかしさ、これレン君病んでね?大丈夫?
一応ピュアな腹黒(!?)を意識して書いてるんですが…どうなのかな(^q^三^p^)
あとリンちゃんはひたすら健気に…というか卑屈(!?)になるように…
大正で異人な容姿で母親酷いしそうなるかなと…リンちゃんごめん。
文才ください。
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